ARKイノベーションETFは、投資家をドットコムバブルの時のような「ブル・トラップ」にシナリオに誘い込むかもしれないとJ.P.モルガンのストラテジストが警鐘を鳴らしています。
Embed from Getty ImagesARKイノベーション上場投資信託(ARKK)は、キャシー・ウッド氏率いるARKインベストの旗艦ファンドで、破壊的な技術や革新的なビジネスモデルを持つ企業に焦点を当てています。
ARKイノベーションは、2月から5月中旬にかけて37%近く急落した後、何度か立ち直ろうかとする動きが見えましたが、3月中旬、4月中旬、4月下旬と、128ドル前後の抵抗線を何度も突破することができませんでした。
最近では、5月13日から6月末にかけて、28%上昇して130ドルを超えましたが、その後は再び下落しています。現在は約117ドルで取引されています。
J.P.モルガンのストラテジスト、ショーン・クイッグ氏は先週、高成長株への過剰な投機活動によって引き起こされたこの好不況のサイクルは、2000年代初頭のハイテク株のドットコムバブルで起こったことによく似ていると書いています。
2000年3月にピークを迎えたS&P500の情報技術セクターは、4月と5月に30%の下落を記録、その後数ヶ月で何度かジャンプバックした後、2年に渡って80%の大暴落に見舞われました。
ARKイノベーションETFは、投資家を当時と同じような「ブル・トラップ」のシナリオに誘い込むかもしれない、とクイッグは氏書いています。
ブル・トラップとは、株式や指数の下降トレンドが反転して上昇に向かっているように見えるが、実際には下降が続くという誤ったシグナルを意味します。
米国国債の利回りが低下し、デルタ変異株への懸念があるため、ハイテク産業の成長は回復していますが、それも長くは続かないだろうとクイッグ氏は考えています。
現在進行中の経済の再開と予想以上のインフレ率を考慮すると、米国国債の利回りは近いうちに再び上昇し、将来のキャッシュフローが割り引かれて、成長牽引型の株式の評価が下がると予想しています。
ナスダック取引所に上場している非金融系の大企業100社に投資するインベスコQQQトラスト(QQQ)に代表される大型のステープル系ハイテク株と、アーク・イノベーションに代表されるディスラプティブ系ハイテク株との格差が拡大しています。
インベスコETFが年間で12.4%上昇しているのに対し、ARKファンドは年間で6%下落しています。これは、ハイテク領域におけるリーダーシップの変化を示唆しているのかもしれません。