モルガン・スタンレーのアナリスト、チャーリー・チャン氏が、世界最大のコントラクト・チップ・メーカーである台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)を「オーバーウェイト」から「イコールウェイト」に格下げしました。
同社の台北上場株式の目標株価を655台湾ドルから580新台湾ドルに引き下げたことで、台湾セミコンダクターの米国預託証券は6月21日の米国市場で下落しています。
台北での取引では、3.3%減の583台湾ドルとなり、米国上場ADRは6月21日午前の取引で1.5%減の114.21ドルとなっています。
チャン氏は、「技術面でのリーダーシップと、2022年および2023年の売上長見通しが有望であるとの認識から、ストリートは概して台湾セミの株式を強気に見ている」と指摘しています。
同社は、現在の半導体不足の恩恵を受けるとして、メディアと投資家の双方から注目を集めていますが、チャン氏は、今後12ヶ月から18ヶ月の間、同社の株価は「デッドマネー」になる可能性があると考えています。
台湾セミコンダクターは最近、半導体の回路線幅を1ナノメートルまで小さくする研究を発表しました。しかしチャン氏は、線幅が5ナノメートル以下になると、半導体メーカーの「資本集約度」が非常に高くなると見ています。
これは、必要な設備を設計、構築、運用するためのコストが高くなることを意味しており、ムーアの法則によるコストメリットは「終わった」と同氏は考えています。
チャン氏は、台湾セミコンダクターの粗利益率が低下し始める可能性があると考えています。市場では将来のマージンを予測するのに、2020年の粗利益率53%を使い続けていますが、同氏はこの数字が50%を下回る可能性があると考えており、2022年と2023年の粗利益率を52%とするストリート・コンセンサスには届かないと予想しています。
このため、同氏は、半導体セクターの投資家に、半導体装置のASMLホールディング(ASML)、ラム・リサーチ(LRCX)、東京エレクトロン(TOELY)への乗り換えを提案しています。