「スノーフレーク 売上110%成長も株価は下落」で決算発表を受けて株価が下落したことをお伝えしたスノーフレーク(SNOW)ですが、5月27日のマーケットでは開始直後に大きく値を下げたものの、その後次第に上昇、終値は前日比3.8%増の244.17ドルとなりました。
どうやら投資家は、スノーフレークがガイダンスで示した「空前の成長」が今後も続くことを高く評価しているようです。
ほとんどのアナリストは業績とファンダメンタルズに強気の見方をしていますが、バリュエーションに関する懸念は依然として残っています。
シティのタイラー・ラドケ氏は、当四半期の業績について、「おなじみの収益トレンドが継続している」と述べ、売上はガイダンスを上回ったものの、同社の通期見通しの向上は限定的だったとしています。
同氏はまた「ガイダンスの引き上げがなかったことは、経営陣が上向きの成長を制限したのではないかという疑問を抱かせる」と述べています。
同氏は、この規模での成長率は「非常に印象的であり、ソフトウェア業界では最速の部類に入る」としながらも、株価が2022年暦年の推定売上高の46倍で取引されていることを指摘、「ニュートラル」の評価を維持する一方で、目標株価を267ドルから270ドルに引き上げました。
スノーフレークのCFOであるマイク・スカルペリ氏は、バロンズ誌とのインタビューの中で、同社が「空前の成長」を続けており、製品の粗利益率も拡大していることを指摘し、数年前の60%台前半から当四半期には72%を超えたと述べています。
スカルペリ氏は、スノーフレークがIPOロードショーで粗利益率75%への道があると述べていたことを指摘し、「今でも非常に納得している 」と述べました。また、2四半期連続でキャッシュフローが黒字であることにも言及しました。同社は、今年初めてキャッシュフローベースでの通年収支を報告することを期待されています。
スカルペリ氏は、6月10日に公開企業として初めての投資家向け説明会を開催することを明らかにし、株価の起爆剤になる可能性を示唆しました。
スカルペリ氏は、同社の長期的な成長見通しについて質問され、「巨大な市場機会…当社はデジタルトランスフォーメーションの適切な場所、適切な時期にいる…誰もがデータをオンプレミスからクラウドに移行している」と述べながら、この話題はその説明会で取り上げると答えました。
スノーフレークは、最も重要なパートナーと競合するという奇妙な立場にあります。同社のツールは、企業がパブリッククラウドプラットフォームであるAmazon Web Services、Microsoft Azure、Google Cloud上でデータを管理するのに役立ちますが、この3社はいずれも、同社と競合するデータ管理ツールを提供しています。
スカルペリ氏によると、スノーフレークはTeradata(TDC)のようなレガシーのデータウェアハウスソフトウェア企業からビジネスを奪っている一方で、アマゾンのRedshiftのような独自のツールを使っている顧客も引き寄せているそうです。
スノーフレークに関するもう一つの興味深い点は、ズーム・ビデオ(ZM)やショッピファイ(SHOP)のように、パンデミックの間に大きく成長した他の企業とは異なり、同社の高い成長率はパンデミックの影響を受けていないようだということです。
スカルペリ氏は、パンデミックがあろうとなかろうと、パブリッククラウドへ移行は起こっていたこと、旅行業や接客業の一部が消費を減らした一方で、小売業やストリーミングビデオの顧客からの需要が急増したことなどを述べています。
スノーフレークのストーリーで最も興味をそそられるのは、従来のソフトウェアライセンスビジネスではなく、ユーティリティーのように消費によって駆動される同社の収益モデルです。
企業のソフトウェアビジネスは、永久ライセンスと年間保守契約の組み合わせから、サブスクリプションモデルへと徐々に移行していますが、スノーフレークのアプローチは、さらに一歩進んでおり、電気のように使用量に応じて課金するというもので、パブリッククラウドのベンダーが採用しているモデルと同じものです。
使用量ベースの収益モデルを採用しないソフトウェア企業が増えている理由を尋ねられたスカルペリ氏は、「ほとんどの企業が使用量を追跡するインフラを持っていないから」と答えています。
さらに、「当社のモデルの優れた点は、月額1,000ドルの製品と月額100万ドルの製品が同じだということです」とも述べています。
従来のソフトウェアモデルでは、顧客がシートライセンス(ユーザーごとの料金)を購入しても、それが使われることはなかったと同氏は指摘。「人々は使った分だけ支払うことを望んでおり、顧客はこのモデルを気に入っている」と語っています。