ARKのファンドマネージャー、キャシー・ウッド氏は一貫したメッセージを発しています。イノベーション株はセール中だと。
ウッド氏は、2月から5月にかけてイノベーション株が大幅下落した時でも、毅然とした態度を変えず、インタビューで何度も、イノベーション株は買い時だとの主張を繰り返してきました。
どうやらその主張は効果を表してきたようです。210億ドル規模のARKイノベーションETF(ARKK)は、2月から5月中旬までの約37%の急落から、この2週間で13%の反発を見せています。
破壊的な技術を持つ企業に焦点を当てているARKイノベーションなど高い相関性を持つ傾向にあるARKの6つのアクティブ運用ETFは、5月13日以降、平均10.3%の上昇を記録しています。
ウッド氏はその主張どおり、この間、押し目買いに努めました。この3カ月間、ARK イノベーションは、テスラ(TSLA)やテラドック(TDOC)などの上位銘柄だけでなく、多くの銘柄を買い付けました。そのなかには、創業間もない企業も含まれています。
ARK イノベーションは、新規上場した暗号通貨取引所コインベース(COIN)の株を300万株以上購入、現在は約7億6500万ドルの価値を持っています。また、同ファンドはスポーツベッティング企業のドラフトキングス(DKNG)に新たなポジションを持ち、800万株を購入、現在は3億9700万ドルの価値があるそうです。5月26日の時点で、この2つの銘柄はそれぞれポートフォリオの3.6%と1.9%を占めています。
このほか、ビデオゲームプラットフォームのスキルズ(SKLZ)とソフトウェア会社のユーアイパス(PATH)が新たに加わり、それぞれ1%以上の組み入れ率となっています。
また、ソフトウェア会社のパランティアテクノロジーズ (PLTR)も注目されています。ウッド氏は、ARKイノベーションの保有株数を500万株から2200万株へと4倍に増やしました。この株は現在、ファンドのポートフォリオの2.4%を占めています。
ドラフトキングスとパランティアテクノロジーズは、5月13日から23%上昇。スキルズとユーアイパスは同時期に26%の上昇を見せています。ビットコインの急激な下落に追随して、コインベースの株価は他のイノベーション銘柄よりも数日間下落し続けましたが、先週から持ち直しています。
ARKイノベーションは、ビーム・セラピューティクス(BEAM)とフェイト・セラピューティクス(FATE)という2つのバイオテック企業や、ツイッター(TWTR)とズーム・ビデオ・コミュニケーションズ(ZM)といったハイテク企業の持ち株も2倍以上に増やしました。いずれも過去2週間で急上昇しており、上昇率は7%から21%となっています。
一方、ARK イノベーションは、フィンテックのペイパル(PYPL)とレンディング・ツリー(TREE)、中国のハイテク企業バイドゥ(BIDU)、トラックメーカーのパッカー(PCAR)、リジェネロン・ファーマシューティカルズ(REGN)、台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(TSM)の株式をすべて売却しました。わずか3カ月前には、バイドゥとペイパルは同ファンドの第5位と第11位の保有銘柄でした。