BofA グローバル・リサーチのメディアアナリストであるジェシカ・レイフ・アーリック氏が、AT&Tのワーナー・メディア事業との合併が検討されているディスカバリーの動きに伴い、バイアコムCBS(VIAC)が買収対象になる可能性があると指摘しています。
同氏は、バイアコムの格付けを「アンダーパフォーム」から「買い」に2段階引き上げ、目標株価を53ドルに設定しました。バイアコムの株価は5月20日の午前中に3.7%上昇して41.15ドルとなっています。
同氏は、、ネットフリックス(NFLX)、アマゾン(AMZN)、ディズニー(DIS)、AT&T(T)のHBO部門などの大規模な市場参加者が積極的にサービスへの投資を行っている時期に、バイアコムCBSがストリーミングへの移行に伴い、「比較的小規模なプレーヤー」としての課題に直面するのではないかという懸念を、以前の弱気なスタンスに反映させたていたそうです。しかし、同氏は現在、ディスカバリー(DISA)とワーナー・メディアの統合案が、規模の拡大を求める他の企業によるメディア統合にさらに拍車をかけるだろうと考えています。
同氏は、ウォール・ストリート・ジャーナル紙がバイアコムを買収のターゲットとして浮上させたことに言及し、同社には3,600本以上の映画と14万本以上のテレビ番組のライブラリという魅力的な資産があり、同社の全部または一部をプレミアム評価で売却できると考えています。
バイアコムの買収には、ナショナル・アミューズメンツ社を通じて同社の議決権株式の77%を保有しているシャリ・レッドストーンの承認が必要になるとアーリック氏は指摘していますが、「これまで、レッドストーンは売却に消極的であることを表明してきたが、市場の動きによっては、オファーを検討したり、積極的に売却を検討したりする圧力が高まる可能性がある」とも述べています。
買い手候補としては、コムキャスト(CMCSA)がアーリック氏のリストのトップに挙げられています。同氏は、コムキャストとの合併により、「映画界の雄であるパラマウントとユニバーサル・スタジオの合併、ピーコックとプルートによる広告ベースのビデオ・オン・デマンド(VOD)の拡大、そして幅広いエンターテイメント資産の獲得」が可能になるとしています。
同氏はまた、この統合によってユニバーサルのテーマパーク事業が強化され、アトラクションを作るための新たなコンテンツが得られる可能性があると述べていますが、一方で、コムキャストがNBCを所有していることから、この統合にはCBSのスピンアウトが必要になる可能性が高いことも指摘しています。
また、アマゾンが映画スタジオのMGMホールディングスの買収に向けて交渉しているという最近の報道を受け、アマゾンも買い手になる可能性があると見ています。さらに、Apple TV+のスケールアップを加速させるために、アップル(AAPL)が買収に興味を持つ可能性もあるとも同氏は考えています。
ネットフリックスもまた動き出す可能性をアーリック氏は指摘しています。同社はこれまで買収を行ってきませんでしたが、「競争環境の激化により、戦略の変更が促進される可能性がある」とし、「バイアコムは、ニコロデオン、パラマウント、CBSの複数のフランチャイズを持っているため、ネットフリックスにとって魅力的な会社になる可能性がある」と述べています。