朝方発表の4月の消費者物価指数(CPI)が市場予想以上に上昇し、金利の先高観が高まったため、5月12日の米国市場は続落しました。長期金利が上昇すると相対的な割高感が意識されやすいハイテク株が下げ、消費関連や景気敏感株にも売りが広がっています。
CPIは、前年同期比で4.2%、3月比で0.8%上昇しました。食品とエネルギー価格を除いても、データが弱く見えることはなく、4月のコアCPIは3月に比べて0.9%、前年同月比では3%上昇しました。
しかし、この数字をよく見ると、インフレの上昇が持続力に欠けるのではないかとも考えられます。
ローゼンバーグ・リサーチ社のデビッド・ローゼンバーグ氏は、今回の大きな上昇のほとんどは、パンデミックの影響を最も受けた分野で生じたものだと指摘しています。
例えば、スポーツイベントの価格はわずか1ヶ月で10.1%上昇し、飛行機のチケットは10.2%上昇、ホテルの部屋の価格は8.8%上がりました。
また、4月のコンピューター価格が5.1%上昇したほか、中古車価格が10%上昇するなど、半導体不足の影響を受けているセクターでも大きな上昇が見られました。
しかし、ローゼンバーグ氏によれば、これらのセクターは米国経済全体のわずか7%を占めるにすぎません。残りの93%は0.3%の上昇で、予想通りの結果でした。
同氏は、今回の数字が予想外に強かったことは認めつつも、データを精査するとその理由は容易に説明できると述べています。
CPIの発表により株価は大きく動きましたが、5月7日発表の雇用統計の内容が市場を失望させたと同じように、ひとつのレポートに過ぎません。
キャピタル・エコノミクスの米国上級エコノミスト、マイケル・ピアース氏は、「今回のレポートが、こうした(インフレ)圧力は『ほとんど一過性のものだ』というFRB当局の見解を変えることはないだろう」と書いています。
FRBが見解を変えるためには、物価の上昇を示す更なる証拠を待つことになりそうです。