4月27日に決算を発表したピンタレスト(PINS)の株価が急落しています。28日日中の取引で約14%下落して67ドルとなり、年初来の上昇分が吹き飛んだ形となりました。売上と収益の数字は予想を上回ったものの、ユーザー数の伸びが期待外れだったことに対する失望売りが集まったためです。
アナリストは今回の決算をどのように評価しているのでしょうか。
シティ・リサーチのアナリストであるジェイソン・バジネット氏は、同社の調整後の収益および売上高がいずれもアナリストのコンセンサス予想を上回ったことを指摘。しかし、市場ははユーザー数の増加をより重視していると述べています。同氏の評価は「ニュートラル」で、目標株価は85ドルです。
JPモルガンのアナリストであるダグ・アンマス氏は、「オーバーウェイト」のレーティングを維持していますが、目標株価を102ドルから95ドルに引き下げました。ピンタレストが今後も広告供給を最適化し、より高いコンバージョン率を実現して広告提供を拡大できると考えていますが、現在はツイッターやスナップの方を評価しています。
コロナ禍後の復調により、ユーザー数の増加が予想よりも遅くなり、エンゲージメントが低下する可能性があると指摘。エンゲージメントの鈍化の影響を相殺するために、引き続き強力な収益化を示す必要があるとしています。
シュティフェルのアナリストであるジョン・エグバート氏は、「買い」の評価を維持していますが、目標価格を100ドルから90ドルに引き下げています。ユーザー数の伸びの見通しについて、「投資家は、大規模なブランドが、オーディエンスを広げるのに苦労しているサービスに予算をシフトし続けるかどうかを疑問視しており、センチメントを圧迫する可能性がある」と書いています。
また、「ピンタレストのMAUの見通しは、短期的にはセンチメントを悪化させる可能性が高いが、今後数ヶ月、数四半期の間に新しい正常な状態になれば、同社のオーディエンス指標は安定してくると思う」と付け加えています。
また、アップルの最新のiPhoneソフトウェアアップデートでプライバシーに関する大きな変更が行われたことで、今後数ヶ月間の広告業界に対する期待が損なわれる可能性があることを指摘。その一方で、ピンタレストのユーザーの購買意欲の高さなどを指摘し、同社がターゲティング広告の分野で優位に立っていると考えています。
ウェドブッシュのアナリストであるYgal Arounian氏は、目標株価を100ドルから91ドルに引き下げましたが、「アウトパフォーム」の評価を維持しています。
ユーザー数の伸び悩みを懸念する声はもっともだとしながらも、経営陣が保守的にハードルを下げたと考えており、コロナによるユーザー数の増加が逆にユーザー数の伸びを鈍らせると予想。短期的に株価を停滞させる可能性があると指摘しています。
一方、同氏はピンタレストの収益化、製品への取り組み、国際的な機会についてはより明るい見通しを持っています。
投資家が納得するには時間がかかるかもしれないものの、ピンタレストはユーザー数の成長よりもマネタイズの成長ストーリーであると同氏は考えており、短期的には株価がレンジで取引される可能性があるものの、12ヶ月間の見通しでは、強力なソーシャル・コマース・プラットフォームとして十分な地位を確立していると述べています。