エヌビディア(NVDA)の最高財務責任者(CFO)であるコレット・クレス氏は、4月12日に開催された投資家説明会において、同社の会計年度第1四半期の売上高が予想の53億ドルを上回る見込みであると述べました。
売上高の具体的な金額は明らかにしませんでしたが、暗号通貨採掘用半導体の売上高は、事前予想の5,000万ドルに対し、1億5,000万ドルを見込んでいると述べ「当社は、すべての市場プラットフォームが当初の見通しを上向かせる要因となり、広範な強さを経験している」としています。
同社は半導体に対する高い需要が年間を通じて継続すると予想しており、それに伴い在庫も減少するだろうと予想、それに伴い在庫も減少するとしていますが、「第1四半期以降の連続的な成長」を支えるのに十分な供給量は確保できる見込みだそうです。
業績予想に加えて、エヌビディアは4月12日に、データセンター向けに特別に設計されたセントラル・プロセッシング・ユニット(CPU)を発表し、投資家を驚かせました。
買収予定であるアームからライセンスを受けた技術をベースに、人工知能アプリケーションやスーパーコンピューティング向けに設計されたサーバーチップとなっています。
「グレース」と呼ばれるこの新しいサーバーチップは、x86ベースのプロセッサーでデータセンターを支配してきたライバルのチップメーカーであるインテル(INTC)やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)との競争がより熾烈になることを意味します。
エヌビディアはすでに、企業や科学者がAIデータのクランチなどに使用するグラフィックユニットとデータプロセッシングユニット(それぞれGPUとDPU)を製造しています。
ジェンスン・フアンCEOは、「GPU、DPUと相まって、グレースはコンピューティングのための第3の基盤技術を提供し、AIを進化させるためにデータセンターを再設計する能力を与えてくれる」とし「エヌビディアは今や3チップ企業です。」とCPUをラインアップに加えたことを高らかに宣言しています。
カスケンドのアナリスト、エリック・ロス氏は、4月12日にエヌビディアの目標価格を640ドルから660ドルに引き上げました。
ロス氏は、データセンター用CPU市場の90%以上を占めているインテルの膨大な市場シェアを考えると、インテルが心配することはほとんどないだろうとしていますが、12日の米株式市場でインテルの株価は前日終値比で4%下がっています。
AMDにとっては、インテルから市場シェアを奪おうとしていることに加え、グレースが発売される2年後にはエヌビディアと競争しなければならないため、事態はより厳しいものとなる可能性があり、AMDの株価は5.15%安となっています。
エヌビディアはソフトバンクグループ傘下のアームを400億ドルで買収することで合意していますが、成立のためには規制当局の承認を得る必要があります。22年までの成立を目指していますが、ハイテク産業をめぐる米中対立は激しさを増しており、買収が計画通り進むかは不透明です。ただ今回のグレースの製造については、買収が成立する必要はなく、アームからのライセンスが必要なだけです。
PHLX半導体指数(Sox)が3.1%下落する中、エヌビディアの4月12日の終値は前日比5.62%上昇の608.36ドルとなっています。