エヌビディア 自動車関連事業にも意欲

データセンター向けCPUへの進出で話題になっているエヌビディア(NVDA)ですが、自動車関連事業でも着々と手を打ち、自動車メーカー間のコンピューティングパワー競争から利益を得ることに意欲を見せています。

世界の自動車メーカーの中で現在時価総額が最大のテスラは、自動運転などの複雑なタスクを管理し、無線でアップグレードできる強力で高価なオンボード・コンピュータを自動車やSUVに搭載することで、ソフトウェア駆動の機能や性能でリードしています。

このテスラに追いつこうとデジタル処理能力の拡充に他の自動車メーカーは躍起となっており、その協力者として期待されているのがエヌビディアという構図になっています。

エヌビディアのジェンスン・フアンCEOは、12日、投資家に対してNvidia DRIVE車載システムの販売により、今後6年間で80億ドルの売上を上げることができるとの見通しを示しました。

同社の自動車部門のシニアディレクターであるダニー・シャピーロ氏は、12日に開催されたGTC21カンファレンスに先立ち、記者団に対し、「エヌビディアの自動車関連受注のパイプラインは、数十億ドル規模に成長している」ことを明らかにしています。

同社の自動車関連事業の売上は、2020年に23%減少し停滞気味でしたが、12日にはボルボ・カーズがエヌビディアの新世代の高出力チップを使用して、来年から投入する車種でより多くの自律走行機能を実現すると発表するなど再起動の兆しを見せています。

中国のジーリー・ホールディング社が所有するボルボ・カーズは、来年発売予定の新世代XC90スポーツユーティリティーから、ボルボ車に使用されている現在のエヌビディア製チップよりもはるかに処理能力の高いエヌビディアの新システム「Drive Orin」を採用すると発表しました。

ボルボは、テスラを意識して、エヌビディアの新しいOrinシステムを搭載した車両は、個々の地理的な場所や状況において安全であることが確認された場合 にソフトウェアのダウンロードによって起動する「ハイウェイ・パイロット」機能などの自律走行機能に「ハードウェア的に対応」することを明らかにしています。

また、同じくエヌビディアと契約を結んだ電気自動車の新興企業、ファラデー・フューチャー社は、2022年に発売予定のFF 91モデルで、自律走行、駐車、「サモン」(呼び寄せ)機能を提供するとしています。テスラはすでに、所有者の遠隔操作で車が駐車場内を移動する「サモン」システムを提供しています。

エヌビディアは、現在データセンターで使用されているコンピューティングパワーを自動車に提供するために、Atlanと呼ばれるチップ上の新しいオンボードコンピュータシステムを開発中であることも発表。このチップは2025年のモデルには間に合うはずだとしています。

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