S&P500は4月1日に初めて4000を超えました。しかし、すべての銘柄がその上昇の利益を享受しているわけではありません。
S&P500銘柄の多くの株価は今年に入ってプラスになっていますが、一方で、2021年第1四半期には約5つに1つの銘柄が下落しているという事実があります。ファンダメンタルな理由で下落しているものもあれば、市場のモメンタムが成長株からシクリカル株やバリュー株にシフトしていることに苦しんでいるものもあるようです。
後者のように全体の流れに押されて株価が下落しているだけで、潜在的な収益力が株価に反映されていない、実力以上に売られ過ぎの銘柄を探すためにバロンズがS&P500構成銘柄をスクリーニングしました。
まず、S&P500銘柄で現在までに株価がマイナスになっている約100社のうち、2021年度の一株当たりの利益が2019年度の利益よりも20%以上高くなると予想している約半数の銘柄をピックアップ。
そこから、2022年もその好調さが続くと予想されており、2022年の収益は2021年の水準からさらに10%以上増加すると予想されている条件に当てはまる30銘柄に絞り込みました。
ここからさらにスクリーニング。2021年の収益予想の30倍以上で取引されている銘柄を除外し、潜在的な収益力が株価に反映されていない可能性のある銘柄、売られ過ぎでお買い得な9銘柄を選定しています。
さらにこの9つの銘柄がお奨めなのは、アナリストは昨年末以降、この9つすべての銘柄の2021年と2022年の業績予想を引き上げており、ウォールストリートがこれらの銘柄に対してより強気になっているという事実です。
ヘルスケア、ハイテク、通信、消費者などの成長株が中心の9銘柄は以下のとおりです。
会社名/ ティッカー | 2021 EPS成長率 vs. 2019 | 2022 EPS成長率 vs. 2021 | 2021 EPS 予想に対する株価倍率 | 年初来株価変動率 |
ダビータ/ DVA | 52.6% | 11.9% | 12.4 | -10.20% |
バーテックス・ファーマシューティカルズ / VRTX | 110.0% | 13.7% | 18.4 | -9.90% |
クアルコム / QCOM | 105.5% | 10.9% | 18.0 | -9.60% |
レイドス/ LDOS | 23.4% | 12.0% | 14.7 | -8.20% |
チャーター・コミュニケーションズ / CHTR | 171.2% | 37.4% | 27.6 | -8.00% |
ボール / BLL | 35.4% | 15.3% | 24.3 | -7.40% |
グローバル・ペイメンツ / GPN | 27.9% | 17.5% | 25.0 | -3.50% |
ドミノ・ピザ / DPZ | 35.1% | 14.6% | 27.9 | -2.60% |
アレクション・ファーマシューティカルズ / ALXN | 24.5% | 10.5% | 11.4 | -1.90% |
半導体メーカーのクアルコム(QCOM)は、今年に入ってから株価が10%近く暴落しています。同社の第1四半期の売上が前年同期比で62%増加したものの、アナリストの予想を下回ったことが下落を招いたようです。長期的には、スマートフォンのプロセッサ用半導体で知られる同社は、世界的な5Gネットワークへの移行とバイデン政権が提案するインフラ支出から恩恵を受ける可能性があります。
バイオテクノロジー企業であるバーテックス・ファーマシューティカルズ(VTRX)も、ある出来事によって売られ過ぎている銘柄です。昨年の10月中旬、試験結果が期待外れであったため、かつて有望であった薬の開発を同社は中止しました。それ以来、同社の株価は23%も急落し、今年に入ってからも10%下落しています。バロンズ誌は3月に、バーテックスは嚢胞性線維症治療の分野では依然として実力者であり、将来有望な薬のパイプラインを開発している会社として評価しています。