エヌビディア(NVDA)がディスクリート・グラフィックス・カード(d GPU)市場でのリードを広げています。dGPUとは、パソコンのチップセットやCPUに内蔵されているGPUではなく、ビデオカードなどの追加型GPUのこと。この市場ではエヌビディアとアドバンスド・マイクロ・デバイシズ(AMD)の2強が製品を提供していますが、エヌビディアが圧倒的に優位な立場でAMDを圧倒しています。
Jon Peddie Researchがこのほど発表した2020年第4四半期のGPU市場レポートによると、両社の関係は変わっておらず、NVDAがAMDに付け入る隙を与えていません。
エヌビディアは、ディスクリートGPU市場の82%を支配下に置き、前年同期の73%から上昇して、2020年を終えました。グラフィックスのスペシャリストである同社は、前四半期比でもリードを拡大し、2020年第3四半期比で2%ポイントを獲得したということです。
これはエヌビディアにとってはAMDの攻勢によってシェアが70%を下回った前年のリベンジを果たしたことを意味します。RTX 30シリーズのグラフィックスカードがゲーマーや暗号通貨の採掘者の間で大流行したことがこの復活劇を実現させました。
一方、AMDは、エヌビディアに比べてサプライチェーンの面で大きな問題を抱えているようで、シェアを落とす結果となりました。
グラフィックスカードは、需要過多と部品不足で品薄状態が続いています。エヌビディアは、2月24日の決算説明会で、供給量を増やす努力をしているにもかかわらず、第1四半期中、販売チャンネルの在庫は低水準にとどまることを認めました。
AMDも、逼迫した供給状況が2021年前半まで続き、生産能力の増強が行われる後半になってようやく緩和されると見ています。
J.P.モルガンは、GPUの供給が需要に追いつくには3~4四半期かかり、その後、販売チャンネル在庫が通常のレベルに達するにはさらに2~3四半期かかるだろうと予測しています。
このような状況の中、エヌビディアはスマートな戦略を展開しています。旺盛な需要に応えるため、旧世代のグラフィックスカードの生産を強化しているのです。これらのカードは入手しやすい価格設定になっており、暗号通貨の採掘ができないようにしてあることから、ゲーム愛好家に向けてより多くのチップを提供できる可能性があります。
こうしてゲーマーのための供給を増やすと同時に、暗号通貨の採掘者にも対応しようとエヌビディアはしています。暗号通貨採掘プロセッサ(CMP)を開発。このCMPにはディスプレイ出力がなく、ピーク電圧と周波数を下げることで、採掘効率を高めています。
これらの動きは、エヌビディアがビデオゲーム市場でより多くのシェアを獲得し、AMDに対するリードを拡大するのに役立つはずです。
ビデオゲーム事業は、前四半期に25億ドルの売上を上げ、エヌビディアの総売上は前年同期比61%増の50億ドルに達しました。今期の売上高は53億ドルを見込んでおり、これは前年同期比で72%の成長となります。
GPU 市場でより大きなシェアを獲得するために展開している戦略のおかげで、総売上の半分を占めるビデオゲーム部門の更なる成長が期待され、同社の業績向上が見込まれています。