大型ハイテク株は、高成長の代わりに低配当というように両者の関係がトレードオフになっているのが一般的です。S&P500を構成するハイテク株の平均利回りが0.94%であるのに対し、全体市場の平均利回りが約1.5%となっていることにもそれが現れています。
ただ、そういう一般的な見方には当てはまらない大型ハイテク株も中にはあります。配当金の成長率が高い会社を見つけ出そうと、バロンズがスクリーニングを行いました。
S&P500の構成銘柄で時価総額が1,000億ドル以上のテクノロジー企業を対象とし、その中で2017年以降の年間配当成長率が20%以上の企業というのが選定の条件。そこで選ばれたのが、以下の5銘柄です。
会社名/ティッカー | 時価総額 | 配当利回り | 年間配当成長率 |
ビザ/V | $463.0 | 0.6% | 22% |
マスターカード/MA | 360.5 | 0.5 | 22 |
ブロードコム/AVGO | 200.0 | 3.0 | 47 |
テキサス・インスツルメンツ/TXN | 163.5 | 2.3 | 21 |
アプライド・マテリアルズ/AMAT | 112.2 | 0.7 | 30 |
アプライド マテリアルズ、ビザ、マスターカードは配当利回りでは見劣りします。しかし、ビザとマスターカードは配当金が2017年から年間約22%のペースで成長。半導体チップ製造用の装置を製造しているアプライド マテリアルズは、2017年から年間平均約30%で配当金が増えていることが魅力です。
半導体を製造しているブロードコムは、2017年以降、年率50%近くと、これらの企業の中で最も急速に配当金を増やしています。その間、1株当たりの配当金は4.08ドルから2020年には13ドルになっています。
ブロードコムが他の企業と異なるのは、大規模な買収によってかなりの成長を遂げているという点です。近年同社が買収または合併した大企業の中には、Brocade Communications Systems(2017年)、CA Technologies(2018年)、Symantec(2019年)などがあります。買収した企業は、いずれも配当金の成長を支えてきたキャッシュ創出力の高い企業です。
自動車など多くの用途に使われるアナログチップを製造しているテキサス・インスツルメンツは、以前から株主への資本還元を重視してきました。それには配当も含まれています。同社の配当金は2017年以降、年率21%のペースで増加しています。2019年は1株当たり3.21ドルの配当金を支払い、昨年は3.72ドルでした。
ブロードコムとテキサス・インスツルメンツを保有している株主は高成長と高配当金を同時に手にすることができる恵まれた投資家です。このような株はなかなか見つけることができません。