先週の米国市場を振り返る
先週の個別株で特に目立ったのは、AIインフラ需要を追い風に約10%上昇したヒューレット・パッカード・エンタープライズ(HPE)と、AIデータセンター向けHDDの競争激化懸念から急落したウエスタンデジタルです。同じAI投資の恩恵を受ける銘柄でも、株価には大きな明暗が出ました。
9月25日終値から10月2日終値までで、S&P 500は7,743.41から7,722.72となり週間0.27%安、ナスダック総合指数は27,068.72から27,190.86となり0.45%高、ダウ工業株30種平均は51,828.62から51,176.96となり1.26%安でした。ナスダックだけが週間で上昇しました。
先週の米国市場で注目された大きく動いた銘柄
フェア・アイザック(FICO)は週間23.39%安となりました。Fannie MaeとFreddie Mac向け住宅ローンでVantageScoreの利用が広がり、FICOスコアが長年築いてきた優位性が揺らぐとの懸念が最大の材料です。一時的な利益確定というより、競争環境の変化を市場が織り込み始めた下落と考えられます。
シナプティクス(SYNA)は週間17.89%高でした。オン・セミコンダクターによる買収条件が見直され、1株123ドル、約57億ドルの現金買収となったことが好感されました。買収対象企業として価格が買収額へ近づく動きです。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズは週間10.15%高でした。AI向けサーバーやネットワーク需要を背景に長期成長見通しを引き上げ、クラウド企業VultrからAMD搭載サーバーラックについて12億ドルの大型注文を獲得しました。AI投資がGPUだけでなく、サーバーやネットワークへ広がっていることを示しています。
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オン・セミコンダクター(ON)は週間9.96%高でした。通常は買収企業の株価が資金負担への警戒から下落するケースもありますが、今回はシナプティクス買収額が従来の約70億ドルから約57億ドルへ下がり、株式発行ではなく現金買収となったことが評価されました。
モンゴDB(MDB)は週間12.79%安でした。CEOのCJ・デサイ氏が退任し、メタの企業向けAI事業を率いることになったためです。9月28日だけで18.46%急落し、その後は一部戻したものの、経営トップ流出への警戒を埋め切れませんでした。
ウエスタンデジタル(WDC)は週間9.09%安、シーゲイト・テクノロジー(STX)は7.40%安でした。東芝がAIデータセンター向けHDDの生産能力を約2倍に増やす計画が伝わり、これまで両社の利益を支えてきた供給不足が将来緩和するとの懸念が広がりました。10月2日だけで両社とも約10%下落しています。
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エヌビディア(NVDA)は週間3.95%高でした。1,500億ドルの追加自社株買いを発表し、買い戻し可能額は合計2,350億ドルとなりました。10月2日の終値は233.95ドルで、過去最高値圏へ再び接近しています。
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テスラ(TSLA)は10月2日に4.65%上昇しましたが、週間では0.41%安でした。第3四半期のEV販売台数が486,532台となり市場予想を上回りましたが、週前半の下落を取り戻すまでには至りませんでした。1日だけを見る場合と1週間を見る場合で印象が大きく変わる銘柄です。
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マイクロン・テクノロジー(MU)は週間0.68%安でした。第4四半期売上高は542億3,000万ドルと前年同期の113億2,000万ドルから大幅に増加し、次四半期についても市場予想を上回る見通しを示しました。それでも週間では下落しており、非常に高い成長期待がすでに株価へ織り込まれていることを示しています。
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AI・半導体関連で目立った動き
先週のAI関連株で重要だったのは、単純な「AI需要は強い」という話ではありません。
ヒューレット・パッカード・エンタープライズにはサーバーやネットワークへの実需が確認され、エヌビディアも最高値圏へ戻りました。マイクロンの業績もAI向けメモリー需要によって記録的な水準です。
一方、ウエスタンデジタルとシーゲイト・テクノロジーでは、AI需要が拡大していても供給能力が増えれば価格決定力が低下するとの警戒が株価を直撃しました。
AI関連株を見るうえでは、今後「需要の成長」だけでなく「競争と供給の増加」を同時に見る必要があります。
下落が目立った銘柄と警戒材料
下落理由も銘柄によって大きく異なります。
フェア・アイザックは制度変更による競争激化、モンゴDBは経営トップの交代、ウエスタンデジタルとシーゲイト・テクノロジーは供給増加への懸念です。
一方、マイクロンのように業績が悪化していないにもかかわらず株価が伸びないケースもあります。これは企業の問題というより、株価に非常に強い成長が織り込まれていることが原因です。
「下落した銘柄」を一括りにせず、業績悪化なのか、競争環境の変化なのか、高い期待の反動なのかを分けて見ることが重要です。
先週の主役は何だったのか
先週の個別株市場を象徴したのは、AI投資の恩恵がサーバーやネットワークまで広がったこと、AI関連株の中でも供給増加や競争激化への警戒が強まったこと、そして好材料が出ても高い期待を超えなければ株価が上がらない銘柄が増えたことです。
AI相場そのものが終わったわけではありません。むしろ、「AI関連」というだけで一斉に買われる段階から、利益成長、競争環境、設備投資、需給まで評価する銘柄選別の段階へ進んでいることが、先週の値動きから見えてきます。
来週も、AI関連株の中でどこに資金が集まるのかを確認したいところです。
情報ソース:Associated Press、Reuters、バロンズ、マーケットウォッチ、FHFA、SEC資料、エヌビディア公式発表、マイクロン公式発表、オン・セミコンダクターおよびシナプティクス公式発表、S&P Global Market Intelligenceの株価データ
※本記事は情報の提供を目的としたものであり、特定の金融商品や銘柄への投資を勧誘するものではありません。最終的な投資判断は、読者自身の責任で行ってください。