バロンズは9月29日、メタ・プラットフォームズ(META)が展開するAIエージェント「ミューズ」が、アップル(AAPL)の事業モデルに新たな競争リスクをもたらす可能性があると報じました。
今回のポイントは、ミューズという新しいAIサービスが人気を集めていることだけではありません。AIエージェントが検索や買い物、旅行予約などをユーザーに代わって行うようになると、これまでiPhoneやApp Store、検索サービスが担ってきた「インターネットへの入口」の価値が変わる可能性があります。
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ミューズは公開2週間で2,500,000ダウンロード
バロンズが紹介したBofA証券のアナリスト、ワムシ・モハン氏の分析によると、メタのミューズは公開から最初の2週間で2,500,000ダウンロードに達しました。
ミューズの特徴は、ユーザーが簡単な指示を出すだけで、さまざまな作業を代行できる点です。旅行の予約やオンラインショッピングなども、別のWebサイトやアプリへ移動せずに進められるとされています。
これまでインターネットを利用する際は、検索エンジンで情報を探し、Webサイトを開き、必要に応じてアプリやECサイトで手続きをする流れが一般的でした。
AIエージェントが普及すると、この一連の作業をAIがまとめて処理するようになる可能性があります。
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アップルのサービス事業に影響する可能性
アップルにとって特に重要なのが、サービス事業への影響です。
現在のiPhoneは単なるスマートフォンではありません。App Store、決済、検索、サブスクリプションなど、さまざまなサービスにつながる入口として機能しています。
しかし、ユーザーがAIエージェントに「航空券を予約して」「この商品を最も条件の良い店で購入して」と依頼し、そのまま取引まで完了できるようになると状況が変わります。
利用するサービスや店舗を選ぶ役割が、人間からAIエージェントへ移るためです。
その結果、これまでOSやアプリストアを経由していた取引の一部がAIエージェント側へ移り、アップルがサービス事業から得てきた収益に影響する可能性があります。
インターネットの入口が検索からAIへ
この変化はアップルだけに関係する問題ではありません。
生成AIの次の競争分野として注目されているのが「エージェント型AI」です。
従来の生成AIは質問への回答や文章作成などが中心でした。一方、AIエージェントは回答するだけでなく、ユーザーに代わって実際の行動まで行います。
ユーザーがインターネットを使う際、最初にGoogle検索やSafariを開くのではなく、AIエージェントに目的を伝えることが一般的になれば、インターネットの入口を握る企業が変わる可能性があります。
メタがミューズで狙っているのも、ユーザーが「何をしたいのか」を最初に把握し、その後の行動まで仲介するポジションと考えられます。
Siriの進化がアップルの重要課題に
アップルもAIへの対応を進めています。
バロンズの記事では、Siriが将来的にミューズのようなAIエージェントへ進化する可能性が指摘されています。
アップルにとって重要なのは、Siriを単なる音声アシスタントから、ユーザーの目的を理解し、必要な作業まで完了できるAIへ発展させられるかどうかです。
AIエージェントの開発競争は速いペースで進んでいます。競合企業に先行される期間が長くなるほど、ユーザーが日常的に利用するサービスの主導権を奪われるリスクも高まります。
アップルにはAIだけでなく、半導体、決済、端末、サービスなどを一体で提供できる強みがあります。こうした機能をSiriとどこまで統合できるかが重要になります。
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アップルにはプライバシーという強み
一方、アップルにはAIエージェント時代でも有力な強みがあります。それがプライバシーとセキュリティーに対する信頼です。
AIエージェントが旅行予約や買い物、スケジュール管理などを代行するようになると、メール、カレンダー、決済情報、購入履歴など、多くの個人情報へのアクセスが必要になる可能性があります。
そのため、AIの性能だけでなく、「自分の個人情報をどの企業に預けるのか」という判断も重要になります。
アップルは長年、プライバシー保護を製品戦略の中心に置いてきました。
メタがAIエージェントの機能面で先行したとしても、個人情報に関するブランドへの信頼では、アップルが優位性を持つ可能性があります。
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AI競争は「ユーザーの意図」を巡る戦いへ
今回のバロンズの記事が示しているのは、アップルとメタの競争がスマートフォンやSNSといった従来の分野を超え始めていることです。
今後のAI競争では、「最も高性能なAIを作る企業」だけでなく、「ユーザーが何をしたいのかを最初に理解し、その行動を実行する企業」が重要になります。
ミューズの急速な普及は、その変化を示す一例です。
一方、アップルは世界中に膨大なiPhoneユーザーを抱え、端末、OS、半導体、決済、サービスをまとめて提供できる数少ない企業です。Siriが本格的なAIエージェントへ進化すれば、この巨大なユーザー基盤を一気に生かせる可能性があります。
BofA証券のモハン氏は、アップル株の投資判断を「買い」とし、目標株価を370ドルとしています。9月29日のアップル株は記事掲載時点で約2%下落し、331.40ドルとなっていましたが、年初来では22%上昇しています。
メタのミューズがアップルに突きつけているのは、単なるAI機能の競争ではありません。インターネット上でユーザーの行動を最初に受け取り、その取引を仲介する「入口」を誰が握るのかという問題です。
アップルにとってSiriのAIエージェント化は、新機能の追加にとどまらず、今後のサービス事業の成長を左右する重要なテーマになっています。
情報ソース: Barron’s: “Apple Faces a New Threat From Meta’s Muse” (By Angela Palumbo, Sept. 29, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。