クラウドストライクとオクタは割高か AIセキュリティ期待に業績が追いつかないリスク

AIの普及によってサイバー攻撃が高度化するとの懸念が強まり、2026年の米国株市場ではサイバーセキュリティ株が大きく上昇しています。

しかし、AI時代の成長期待が先行し、実際の業績に比べて株価が高くなりすぎている企業もあるようです。

ジ・インフォメーションは2026年9月21日、クラウドストライク(CRWD)とオクタ(OKTA)を取り上げ、AIによる収益拡大がまだ十分に確認できない一方、株価評価は非常に高い水準にあると指摘しました。

関連記事:AI時代の本命市場はサイバーセキュリティ?クラウドストライクとオクタの好決算を徹底分析

サイバーセキュリティ株はS&P500を大幅に上回る

記事によると、S&Pケンショー・サイバーセキュリティ・インデックスは2026年に入って41%上昇しています。同期間のS&P500の上昇率は11%で、サイバーセキュリティ株の強さが目立っています。

背景には生成AIやAIエージェントの普及があります。

AIを悪用したサイバー攻撃が増えれば、企業は防御のための支出を増やす必要があります。このため投資家は、サイバーセキュリティ企業がAI時代の大きな恩恵を受けると期待しています。

ただし、市場が拡大することと、高い株価評価が正当化されることは同じではありません。

関連記事:AI相場の次はサイバーセキュリティ JPモルガンが選ぶ「本命5銘柄」

クラウドストライクは予想売上高の36倍

クラウドストライクの株価は2026年に約103%上昇しています。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスによると、同社は翌年度予想売上高の約36倍で取引されており、上場以来でも非常に高い水準です。

一方、売上高成長率は1月までの年度で21.7%となり、前年の29.4%から減速しました。今期は24.8%程度への回復が予想されていますが、その後は22%前後の成長が見込まれています。

ジ・インフォメーションは比較対象としてサービスナウ(NOW)を挙げています。

サービスナウは企業向け業務ソフトウエアだけでなく、セキュリティ分野にも事業を広げています。今期の売上高成長率は22.2%と予想され、クラウドストライクと大きな差はありません。

それでも翌年度予想売上高に対する倍率は約8倍です。

成長率が近い2社で株価評価に大きな差がある点は、クラウドストライクに対する市場の期待がいかに高いかを示しています。

オクタもAIエージェントへの期待が先行

企業のID管理を手掛けるオクタも、AIエージェント時代の有望銘柄として注目されています。

AIエージェントが人間に代わって企業システムへアクセスするようになれば、それぞれのAIが「どの情報に、どこまでアクセスできるのか」を管理する技術が重要になります。

オクタはAIエージェント向けのセキュリティ製品を投入していますが、現時点で大きな業績効果は確認されていません。

同社の売上高成長率は1月までの年度で11.8%となり、今期も11.2%程度と予想されています。それにもかかわらず、株価は翌年度予想売上高の約9倍です。

比較対象となるセールスフォース(CRM)は今期11.5%程度の成長が予想されていますが、売上高倍率は5倍弱です。

オクタについても、AIによる将来の成長を株価が先取りしている可能性があります。

関連記事:オクタ決算が示すAI時代の新成長軸 AIエージェントのID管理は巨大市場になるか

グーグルやマイクロソフトとの競争も激化

サイバーセキュリティ市場では競争相手も増えています。

クラウドストライクやパロアルト・ネットワークス(PANW)、オクタなどに加え、アルファベット(GOOGL)傘下のグーグルやマイクロソフト(MSFT)もセキュリティ事業を強化しています。

さらにAIエージェント向けのセキュリティに特化した新興企業も次々と参入しています。

市場全体が成長しても、既存のサイバーセキュリティ企業がその成長を独占できるわけではありません。

関連記事:AI相場は「作る」から「守る」へ クラウドストライクとパロアルトの急騰が示す次の成長市場

オープンAIやアンソロピックが競争相手になる可能性

より注目したいのは、オープンAIやアンソロピックなどのAI企業が、将来的にセキュリティ市場へ直接参入する可能性です。

現在、クラウドストライクを含む多くの企業は、オープンAIやアンソロピックなどの基盤モデルを利用してAI機能を開発しています。

しかし、AIモデル自体が大量のセキュリティデータを分析し、脅威を分類し、対応策まで実行できるようになれば、AI企業が自らセキュリティ製品を提供する可能性もあります。

キーバンク・キャピタル・マーケッツのアナリスト、エリック・ヒース氏は、オープンAIやアンソロピックの求人動向などから、両社が現在以上に幅広いサイバーセキュリティ事業を検討している可能性に注目しています。

AI企業が直接市場に参入すれば、既存企業にとって新たな価格競争や利益率低下の要因になる可能性があります。

AI市場の成長と株価の割安・割高は別の問題

ジ・インフォメーションの記事は、AIによってサイバーセキュリティ需要が拡大する可能性そのものを否定しているわけではありません。

むしろ市場の成長期待が非常に強いため、クラウドストライクやオクタの株価には将来の成功がかなり織り込まれている点を問題視しています。

投資家にとって重要なのは「AI関連企業だから成長する」という見方だけではなく、AI関連製品が実際に売上高や利益をどの程度押し上げているのかを確認することです。

サイバーセキュリティはAI時代の重要な成長市場ですが、競争は今後さらに激しくなる可能性があります。高い成長期待と現在の株価評価が見合っているのかを見極めることが、これまで以上に重要になっています。

情報ソース: The Information: “CrowdStrike and Okta Trade at Big Premiums Despite Unproven AI Payoff” (By Anita Ramaswamy, Sep. 21, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

最新情報をチェックしよう!