2025年、AIブームで上昇する半導体株の本命とは?

AMD

2025年、米国市場では半導体株が再び注目を集めています。iシェアーズ・米国半導体ETF(SOXX)は年初来で12%上昇し、S&P500(SPX)の約6%を大きく上回るパフォーマンスを見せています。4月にはトランプ大統領の関税発表で一時的に下落したものの、その後の一部撤回を受けて急速に回復しました。

背景には、AIチップへの需要拡大と、経済成長への期待感があります。

AI需要が牽引する半導体セクター

半導体株は、相場が上昇局面にあるときに特に強さを発揮します。中でも、データセンター向けのAIチップは需要が急増しており、このトレンドは始まったばかりです。企業のAI投資が今後も続けば、半導体セクターはさらに成長が期待できます。

SOXXは6月初旬に50日移動平均線を上抜け、その後も上昇を続けています。現在の価格は242ドルで、移動平均線(211ドル)を大きく上回っています。Macro Risk Advisorsのチーフテクニカルストラテジスト、ジョン・コロヴォス氏は、「現在の価格と移動平均線との乖離は上昇トレンドの確かな証拠」と述べ、今後1年以内に300ドルを超える可能性があると見ています。

エヌビディア(NVDA)

エヌビディアは2025年に入り、株価が14%上昇。過去最高値を更新しています。マイクロソフトやメタ・プラットフォームズといったビッグテックに汎用AIチップを供給する、業界のリーダー的存在です。

ファクトセットによると、今年の売上は939億ドルに達し、そのうち約173億ドルがデータセンター関連。前年比58%の伸びとなっています。2026年以降は成長がやや落ち着く見通しですが、2025年以降5年間は年平均16%の売上成長が見込まれています。

粗利率には多少の下押し圧力がありますが、営業コストが抑制されているため、利益成長は堅調。1株当たり利益は今後5年間で年平均17%の成長が予想されています。

ブロードコム(AVGO)

ブロードコムも年初来で16%上昇し、株価は過去最高値を更新しました。エヌビディアと並ぶAIチップの主要プレイヤーで、今年の売上は約650億ドルが見込まれています。

特にデータセンターからの収益が伸びており、今後3年間の1株当たり利益は年平均25%の成長が期待されています。

TSMC(TSM)

TSMCも年初から16%の株価上昇を記録しています。予想売上は317億ドル。エヌビディアをはじめとする半導体メーカー向けに、主要なコンポーネントを提供しています。

AIやデータセンターの成長とともに、TSMCの受注も増加。今後3年間で年平均29%のEPS成長が予想されています。LRTキャピタル・マネジメントのポートフォリオマネージャー、ルーカス・トミッキ氏も「TSMCは半導体需要の恩恵を直接受けられる銘柄」と評価しています。

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)

一方、AMDは年初から15%上昇していますが、やや評価が分かれています。AI関連ビジネスの拡大が期待される中、過去数四半期では市場予想を下回る結果が続いています。

トミッキ氏は、「AMDの上昇は業界全体の追い風によるもので、個別企業としての強さではない」と指摘し、投資対象としては消極的な姿勢を見せています。

まとめ:成長の本命を見極めよう

半導体業界は、今後もAI需要を背景に長期的な成長が期待される分野です。ただし、どの銘柄も同じように恩恵を受けるわけではありません。エヌビディア、ブロードコム、TSMCといった、実績と将来性の両方を備えた企業に投資することで、安定したリターンが狙えると考えられます。

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