AI需要が追い風に、半導体株が再び脚光を浴びる理由

AMD

2025年、PHLX半導体指数は年初来で約6%上昇しており、S&P500の上昇率の約2倍に達しています。特に、人工知能(AI)需要の拡大を背景に、大手半導体企業の株価にはさらなる上昇余地があると、バーンスタイン・リサーチのアナリストたちは指摘しています。

AIハードウェア需要が追い風となるエヌビディア

エヌビディア(NVDA)は、最新のブラックウェル AIプラットフォームの展開によって、AIハードウェア需要への懸念を払拭しつつあります。顧客からの支出は非常に強く、米国政府の対中輸出規制によって販売が禁止されたH20チップの影響を相殺できるほどだとされています。

同社は、今回の規制によって今四半期で80億ドルの中国向け売上を失う見通しですが、バーンスタインは「すでにこの売上は業績予測から除外されており、規制が緩和されるか、新たな回避策が講じられれば、むしろ上振れ要因になる」と述べています。

データセンター市場における成長機会は「依然として初期段階」であり、「大きな上昇余地がある」とアナリストは見ています。

*過去記事はこちら  エヌビディアNVDA

ブロードコムにも注目が集まる

ブロードコム(AVGO)もAI分野での成長期待が高まっています。とくにAI推論(インファレンス)への需要が2026年に向けて拡大する見通しであり、大手ハイパースケーラーがこの領域に注力する中、ブロードコムの展望は明るいとバーンスタインは述べています。

ソフトウェア部門の堅調な伸び、手元資金の有効活用、高い利益率とフリーキャッシュフローが株価の支えとなっています。ただし、AI以外のコア半導体事業は依然として弱含みだと指摘されています。

なお、バーンスタインのアナリストは「どちらの銘柄も好感しているが、現時点ではバリュエーションの観点からエヌビディアにやや傾く」とコメントしています。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

AMDの追い上げ、だが依然として課題あり

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)もAI分野での巻き返しを図っています。先週開催された年次イベント「Advancing AI」では、Instinct MI350シリーズの加速器を発表し、さらに次世代のMI400およびMI450シリーズの開発計画も示されました。

バーンスタインによれば、MI355は「堅実な製品」ではあるものの、エヌビディアのラックスケール製品と比較すると依然として競争力に欠けるとしています。真価が問われるのは、少なくとも1年後に登場予定のMI450であり、ここがAMDの転機になると見られています。

また、MI350シリーズは「ようやくエヌビディアのブラックウェルシリーズに対抗可能なGPU性能を実現した」が、「1年遅れての達成」であり、次のベラ・ルービン世代との競争が重要になるとしています。

短期的には好調な株価を維持していますが、アナリストは「現在の顧客との関係が持続するかには慎重な見方をしている」と述べており、安定成長には課題が残る状況です。

*過去記事はこちら  AMD

AI需要の持続性と半導体業界の展望

AIインフラへの巨額投資が続く中で、エヌビディアやブロードコムといった企業は確かな収益機会を確保しています。一方で、トランプ大統領による関税政策の先行きには不透明感が残っており、地政学的なリスクも注視が必要です。

それでも、バーンスタインの分析によれば、AI需要は構造的な成長トレンドにあり、「テクノロジー各社が高水準の資本支出を維持している現状から見ても、今後も継続する可能性が高い」と考えられています。

半導体株は引き続き、投資家にとって注目すべきセクターとなっています。

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