エヌビディアとAMD、サウジAI投資で復活!半導体株に追い風が吹く理由

AMD

半導体市場に再び活気が戻っています。サウジアラビアと米国の半導体・テクノロジー企業による新たな提携が、AIハードウェア投資への懸念を和らげているためです。

エヌビディア(NVDA)は5月13日、サウジアラビアの新興AI企業ヒュメインと今後5年間にわたるパートナーシップを締結したと発表しました。この提携により、エヌビディアは18,000枚の最先端GPU「ブラックウェル」チップをヒュメインに提供し、500メガワット級のデータセンターを構築する計画です。ヒュメインはサウジアラビアの公共投資基金(PIF)が所有する企業であり、国家規模でのAIインフラ整備が本格化しています。

AMDも10億ドル規模の提携を発表

アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)も同日、ヒュメインと今後5年間で100億ドル規模のパートナーシップを結ぶと発表しました。この協業により、AMDはAIインフラの構築を支援し、サウジアラビアでのAI市場拡大に貢献します。

ローゼンブラット証券のアナリストは、この提携がエヌビディアやAMDにとって「中国向け輸出規制による影響を部分的に相殺する」効果があると指摘しています。

米中関係緩和とサウジAI投資が市場環境を改善

バンク・オブ・アメリカのアナリストは、エヌビディアとAMDのヒュメインとの協業が年間30億〜50億ドル規模となり、5年間で総額150億〜200億ドルに達すると試算しています。エヌビディアが2025年にヒュメインへ供給する18,000枚のブラックウェルチップの売上は約7億ドルと見込まれており、今後数十万枚の高性能GPUがサウジアラビアに供給される計画です。

また、ウェドブッシュ証券は、トランプ大統領が中国との間で相互関税の一時停止に合意したことで、景気後退懸念が後退し、テクノロジー投資に追い風が吹いていると分析しています。

エヌビディアとAMDの株価は急騰、時価総額3兆ドルを再び突破

エヌビディアの株価は5月14日に4.2%上昇し、2024年年初来高値を更新。年初の134.29ドルを上回る135.34ドルで取引を終えました。4月4日には一時94.31ドルまで下落していましたが、この数週間で急速に回復し、時価総額は3兆ドルを再び突破しました。

AMDも同日に4.7%上昇し、6日連続の株価上昇を記録。1週間で約14%、6日間で約19%の上昇幅となっています。さらに、同社は60億ドル規模の自社株買いプログラムを発表し、株主還元を強化しています。

ブロードコムやマーベル・テクノロジーにも恩恵

サウジアラビアとのAI提携は、エヌビディアやAMDに限らず、ブロードコム(AVGO)マーベル・テクノロジー(MRVL)など他の半導体企業にも波及効果があると指摘されています。ブロードコムは5月14日の取引で年初来プラスに転じ、週次で11%の上昇を記録しました。

サウジアラビアのAI投資は1兆ドル規模の市場を創出

バーンスタイン・リサーチは、サウジアラビアが「地域およびグローバルなAIハブとしての地位確立を目指し、多額の投資を行う姿勢を明確に示している」と分析しています。ウェドブッシュ証券も同様に「AI革命はサウジ王国にも到達し、今後10年間でAIチップ、ソフトウェア、自律走行技術、データセンターなどの分野で大規模な需要が生まれる」と予測しています。

これにより、エヌビディア、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)、マイクロソフト(MSFT)、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、テスラ(TSLA)など、AI関連企業全般にとっても大きなビジネスチャンスが広がっています。

米国のAIチップ輸出規制リスクは依然として残る

一方で、シティ・リサーチは「エヌビディアのヒュメインとの提携は良いスタートだが、今後は各国との個別交渉が必要になる」と指摘しています。中国以外の主要国へのAIチップ供給にも規制強化のリスクが残されており、慎重な対応が求められています。

このように、サウジアラビアとの大型AI提携は、米国半導体企業にとって大きな追い風となりつつありますが、地政学リスクや規制動向にも注視する必要があります。今後も中東を含む新たな市場開拓が、半導体セクターの成長ドライバーとして注目されます。

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