IBM決算で復活の兆し!売上高171億ドルで市場予想を突破、株価反発も完全復活には課題

  • 2026年10月22日
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✨ この記事でわかること

  • IBMの2026年第3四半期決算は売上高と調整後EPSが市場予想を上回り、ソフトウェア事業が回復を牽引しました。
  • 第2四半期に先送りされた大型契約の約3分の2が成立し、業績回復への期待が高まっています。
  • フリーキャッシュフロー見通しは引き上げられましたが、持続的な成長力の回復には依然として課題が残っています。

米国のIT大手IBM(IBM)は、2026年10月21日の米国市場終了後、2026年第3四半期(7〜9月期)決算を発表しました。

売上高は前年同期比約5%増の171億ドル、調整後1株当たり利益(EPS)は2.95ドルとなり、いずれも市場予想を上回りました。

今回の決算が注目される最大の理由は、7月に発表した第2四半期の暫定決算が市場の期待を大きく裏切り、株価が1日で約25%急落していたことです。

IBMは今回、ソフトウェア事業の回復に加え、前四半期に先送りされた大型契約の多くが成立したことを明らかにしました。

ただし、業績が市場予想を上回ったことと、企業として持続的な成長軌道に戻ったことは同じではありません。今回の決算は、IBMの回復力と残された課題の両方を浮き彫りにしています。

売上高171億ドル、調整後EPS2.95ドルで市場予想を上回る

IBMの第3四半期決算の主要数値は以下のとおりです。

項目実績市場予想
売上高171億ドル168億ドル
調整後EPS(Non-GAAP)2.95ドル2.85ドル
GAAP EPS(継続事業)2.31ドル—
売上高成長率約+5%—
ソフトウェア売上高78億ドル76.6億ドル

売上高は前年同期の163億3100万ドルから171億300万ドルへ増加しました。正確な伸び率は約4.7%で、恒常為替レートベースでは6%の増収です。

調整後EPSは前年同期比11%増加し、GAAPベースのEPSも26%増加しました。

一方、GAAPベースの粗利益率は56.8%と前年同期から0.5ポイント低下しました。売上高と利益が拡大しているものの、収益性のすべての指標が改善したわけではありません。

調整後税引前利益率は19.3%と前年同期から0.7ポイント改善しており、コスト管理の効果も確認できます。

IBMの公式発表によると、今回の成長は主にソフトウェアとインフラ事業によって支えられています。

ソフトウェア事業が8%成長、IBMの回復を牽引

今回の決算で最も重要だったのは、ソフトウェア事業の成長回復です。

事業部門別の売上高は以下のようになりました。

事業部門売上高前年同期比
ソフトウェア78.04億ドル+8%
コンサルティング53.35億ドルほぼ横ばい
インフラ37.07億ドル+4%

ソフトウェア事業は全社売上高の約46%を占め、IBMの成長を支える中心的な存在です。

IBMは近年、レッドハット、ハシコープ、コンフルエントなどの企業買収を通じてソフトウェア事業の強化を進めています。

今回の8%成長は、ソフトウェア事業が再び成長の牽引役になったことを示しています。

ただし、投資家が確認すべきなのは、買収による売上高の上乗せを除いた既存事業の成長率です。

買収によって売上高が拡大しても、それだけでIBM自身の競争力が高まったとは判断できません。

今後は、既存ソフトウェアの需要回復と買収企業との相乗効果がどこまで利益成長につながるかが重要になります。

第2四半期に先送りされた大型契約の約3分の2が成立

今回の決算で特に注目すべき変化が、メインフレーム(IBM Z)や関連ソフトウェアなどの大型契約の成立です。

IBMは第2四半期、顧客企業のAI関連投資への予算配分の変化などを背景に、メインフレームや関連ソフトウェアを含む一部の大型契約の締結が遅れたと説明していました。

メインフレームは、金融機関や大企業などが大量の取引データを安全かつ安定的に処理するために使用する高性能コンピューターです。IBMにとって、関連ソフトウェアや保守サービスも含めた重要な事業基盤となっています。

大型契約の締結遅延は業績の下振れを引き起こし、経営陣の実行力に対する市場の不信感を強めました。

しかし、IBMは今回、第2四半期に先送りされた案件の約3分の2が第3四半期に成立したことを明らかにしています。

これは重要な改善です。

契約の遅れが顧客需要の消失ではなく、契約締結時期のずれだったというIBMの説明を裏づける材料となったためです。

一方、残る案件が確実に成立する保証はありません。今回の回復には前四半期からの持ち越し案件による押し上げも含まれるため、第4四半期以降も同じ成長率を維持できるかは別の問題です。

関連記事:IBMを襲った「AI予算の奪い合い」 第2四半期決算が映すソフトウェア企業の誤算

フリーキャッシュフロー見通しを引き上げ、財務面にも改善

IBMは2026年通期のフリーキャッシュフロー見通しを引き上げました。

従来は2025年から約10億ドルの増加を見込んでいましたが、今回の決算では10億ドル超の増加を予想しています。

第3四半期のフリーキャッシュフローは30億ドルとなり、前年同期から約7億ドル増加しました。

また、2026年1〜9月期の累計フリーキャッシュフローは78億ドルに達しています。

アービンド・クリシュナCEOは、規律ある事業運営が売上高成長の加速と力強いキャッシュフローにつながったと説明しています。

フリーキャッシュフローの増加は、配当の維持、研究開発、企業買収、負債返済などの財務的な選択肢を広げます。

ただし、IBMは買収を通じて事業構造を変革しているため、キャッシュフローの成長とともに買収資金や負債の管理状況も確認する必要があります。

IBM株は決算を受けて反発、しかし市場の警戒感は残る

IBM株は10月21日の通常取引を約4%高で終えました。

決算発表後も当初は買いが入り、バロンズが報じた時点では時間外取引で約1.4%上昇し、255ドル前後で取引されていました。

ただし、時間外取引では値動きが変化しており、後の市場情報には下落を示すものもあります。したがって、決算後の株価が一貫して上昇したと判断することはできません。

IBMの株価は7月14日、第2四半期暫定決算の発表を受けて約25%下落しました。これは同社にとって記録的な急落となりました。

今回の好決算は、市場の不信感を和らげる材料になりましたが、失われた成長期待を完全に取り戻すには至っていません。

バロンズによると、ジェフリーズのアナリスト、ブレント・ティル氏はIBMを、今後も成果を示す必要がある企業として評価しています。

モルガン・スタンレーも今回の決算をおおむね前向きに評価する一方、今後は売上高に対する市場の期待が高まり、事業環境も厳しくなる可能性を指摘しました。

投資家が次に求めるのは、1四半期だけの市場予想超過ではなく、継続的な成長実績です。

関連記事:IBM株が歴史的暴落 AI成長企業の期待が崩れた本当の理由

通期売上高見通しは据え置き、完全復活を判断するには早い

IBMは2026年通期の売上高成長率見通しについて、恒常為替レートベースで4〜5%を維持しました。

今回の第3四半期は6%の成長を記録しましたが、会社側は通期の売上高見通しを引き上げていません。

ここに、今回の好決算を慎重に評価するべき理由があります。

一時的に先送り案件が成立したことで売上高が押し上げられている可能性があるため、経営陣は今後の成長に対して依然として慎重な姿勢を取っていると考えられます。

一方、ロイターによると、IBMは通期のソフトウェア売上高成長率見通しを、従来の6〜8%から7〜8%へ引き上げています。

全社の売上高見通しは据え置いたものの、成長の中心であるソフトウェア事業については、従来より強い見通しを示したことになります。

量子コンピューティングは長期的な成長材料

IBMには、ソフトウェアやメインフレーム以外にも注目すべき事業があります。

その代表が量子コンピューティングです。

IBMは長年にわたり量子技術を研究しており、米政府の量子コンピューティング関連プログラムでも存在感を高めています。

バロンズは、IBMが米国の量子コンピューター性能評価プログラムの最終段階に進んだことを紹介しています。

量子コンピューティングが実用化されれば、IBMの新たな成長源になる可能性があります。

もっとも、今回の第3四半期決算で量子コンピューティング事業が売上高成長を大きく押し上げたと確認できるわけではありません。

現時点では、量子技術を短期業績の回復要因としてではなく、長期的な成長オプションとして評価することが適切です。

関連記事:IBMが「量子版TSMC」へ 米政府10億ドル支援で始まる量子コンピューター製造革命

まとめ:IBMの回復は始まったが、次の決算が重要

IBMの2026年第3四半期決算は、7月の業績悪化によって傷ついた市場の信頼を取り戻すための重要な一歩となりました。

売上高と調整後EPSは市場予想を上回り、ソフトウェア事業の成長も回復しています。さらに、メインフレームや関連ソフトウェアなどの先送りされていた大型契約の成立と、フリーキャッシュフロー見通しの引き上げは、経営改善を示す前向きな材料です。

一方、通期の全社売上高成長率見通しは据え置かれました。

IBMが持続的な成長軌道に戻ったと判断するには、今後もソフトウェア事業の成長が続くこと、メインフレーム関連の契約が安定的に成立すること、利益率とキャッシュフローが改善することを確認する必要があります。

今回の決算は「完全復活」を証明したものではありません。しかし、IBMが7月の深刻な業績悪化から立ち直る可能性を示した決算と評価できます。

今後の株価を左右するのは、今回の好決算そのものよりも、この回復を第4四半期以降に継続できるかどうかです。

情報ソース

企業公式資料・一次情報

報道・市場情報

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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