サンディスク(SNDK)の株価が驚異的な上昇を続けています。2026年に入ってからの上昇率は644%に達し、過去12カ月では1,600%以上上昇しました。
ここまで株価が上昇すると「さすがに上がりすぎではないか」と考えたくなります。しかし、米国の投資情報メディア「バロンズ」が9月22日に掲載した記事では、AI需要とNANDフラッシュメモリーの供給不足を背景に、さらに上値余地があるとの強気な見方が紹介されています。
注目されているのは、AI投資の恩恵がGPUだけでなく、メモリーやストレージにも本格的に広がり始めていることです。
関連記事:サンディスク株にウォール街が強気 目標株価2,250ドルと「NAND市場7倍」の衝撃
ローゼンブラットが目標株価2,400ドル
ローゼンブラットのアナリスト、ケビン・キャシディ氏はサンディスクの調査を開始し、投資判断を「買い」、目標株価を2,400ドルに設定しました。
サンディスクの9月21日の終値は1,766.64ドルだったため、この目標株価は当時の株価から約36%の上昇余地を示す水準です。
翌9月22日にはサンディスク株がさらに上昇し、午後の取引で約6.6%高の1,883.60ドルとなり、S&P500構成銘柄の中でも上昇率上位に入りました。
すでに大幅上昇している銘柄に対して、さらに高い目標株価が設定された背景には、メモリー市場の急速な環境変化があります。
AI需要がメモリー価格を押し上げる
現在の半導体市場では、DRAMとNANDフラッシュの供給不足が大きなテーマとなっています。
DRAMはAIサーバーやコンピューターがデータを処理する際に使う一時的なメモリーです。一方、NANDフラッシュはSSDなどに使われ、データを長期間保存する役割を担っています。
バロンズによると、ウォール街では2026年第3四半期のメモリーチップの平均販売価格が前四半期比で20%以上上昇すると予想されています。
さらに、DRAMとNANDの供給不足は2027年に入っても続くとの見方があります。
メモリー価格が上昇する一方で需要も強ければ、メーカーにとっては売上高だけでなく利益率の改善にもつながります。現在のメモリー株上昇の背景には、こうした業績拡大への期待があります。
関連記事:メモリ産業に「新たな黄金期」到来か サンディスクが狙う粗利80%の世界
NAND市場ではサムスン電子が首位
NANDフラッシュ市場では、韓国のサムスン電子が約28%のシェアを持ち、世界最大手となっています。
続くSKハイニックス(SKHY)が約19%、米国のマイクロン・テクノロジー(MU)が2026年第2四半期時点で約15%、サンディスクが約11%を占めています。
9月22日の米国市場ではサンディスクだけでなく、SKハイニックスやマイクロン・テクノロジーの株価も上昇しました。
つまり今回のサンディスク株上昇は、個別企業だけの材料ではなく、AIによるメモリー需要拡大を背景とした業界全体の動きとして見ることができます。
関連記事:メモリ半導体はまだピークではない?SKハイニックス「2030年まで不足」予測とマイクロンの将来性
NANDがAIインフラの重要部品に
特に注目したいのは、AI時代におけるNANDフラッシュの位置づけが変わり始めていることです。
これまでNANDは、パソコンやスマートフォン、データセンターでデータを保存するための部品という性格が強く、価格競争の影響を受けやすい製品でした。
しかし生成AIの学習や推論では膨大なデータを高速で保存し、必要なときに読み出す必要があります。
そのため、GPUやCPUだけでなく、大量のデータを扱うストレージ性能もAIシステム全体の処理能力を左右する重要な要素になっています。
ケビン・キャシディ氏は、AIコンピューティングの拡大によって、NANDが単なる汎用ストレージからAIインフラを支える重要な部品へ変化する可能性を指摘しています。
キオクシアとの協力もサンディスクの強み
サンディスクの競争力を支えている要素の1つが、日本のキオクシア(285A)との協力関係です。
両社はNANDフラッシュの技術開発や製造で長年協力しており、次世代NANDの開発も進めています。
キャシディ氏は、こうした技術開発のロードマップによって、サンディスクがAI向けメモリー市場で性能とコストの両面における競争力を維持できる可能性があるとみています。
AIデータセンターへの投資が拡大し続ければ、NAND需要の増加がサンディスクの業績をさらに押し上げる可能性があります。
株価急騰後のリスクには注意
一方で、サンディスク株は2026年だけですでに644%、過去12カ月では1,600%以上上昇しています。
この急騰を考えると、将来の業績拡大期待が株価に相当程度織り込まれている可能性には注意が必要です。
メモリー市場はこれまで何度も供給不足と供給過剰を繰り返してきました。高い価格が続けば各社が生産能力を拡大し、いずれ需給が緩む可能性もあります。
また、AIデータセンターへの設備投資が予想より減速すれば、現在の強い需要見通しが変化する可能性があります。
今後のサンディスク株を見るうえでは、株価そのものだけでなく、NAND価格、供給量、AIデータセンター投資、競合メーカーの増産計画などを確認していくことが重要です。
関連記事:マイクロン株の本当の論点 短期調整より重要なメモリ供給不足の行方
まとめ
サンディスク株はすでに歴史的ともいえる上昇を記録していますが、ローゼンブラットは目標株価を2,400ドルに設定し、さらに上値余地があるとの見方を示しています。
背景にあるのは、AI需要の拡大とNANDフラッシュの供給不足です。
これまでAI半導体市場ではエヌビディアなどのGPUが注目の中心でしたが、AIシステムが扱うデータ量が増えるにつれて、メモリーやストレージの重要性も急速に高まっています。
サンディスクだけでなく、マイクロン・テクノロジー、SKハイニックス、サムスン電子など、メモリー業界全体がAI投資拡大の恩恵を受ける構図になっています。
ただし、サンディスク株はすでに大幅に上昇しています。今後は「AI需要が伸びるか」だけではなく、「現在のメモリー不足と価格上昇がどこまで続くのか」が株価を左右する重要なポイントになります。
情報ソース: Barron’s: “Sandisk Shares are Up 644% This Year. Surprise: There’s a Lot More Upside.” (By Kit Norton, Sept. 22, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。