ロケット・ラボ(RKLB)が、小型ロケット企業から総合的な「宇宙インフラ企業」へ大きく変わろうとしています。
注目すべきは、大型ロケット「ニュートロン」の開発と、イリジウム・コミュニケーションズ(IRDM)の買収計画です。この2つが成功すれば、ロケット・ラボの事業規模だけでなく、収益構造そのものが大きく変化する可能性があります。
バロンズによると、キャンター・フィッツジェラルドのアナリストはロケット・ラボの投資判断「アウトパフォーム」と目標株価122ドルを据え置きました。9月21日の株価は8.2%上昇し、69.89ドルで取引を終えています。
ただし、投資家が注目すべきなのは短期的な株価上昇ではなく、ロケット・ラボがスペースX(SPCX)に次ぐ有力な宇宙企業へ成長できるかという点です。
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ニュートロンで参入できる市場が大きく変わる
ロケット・ラボの現在の主力ロケット「エレクトロン」は、約300kgのペイロードを運ぶ小型ロケットです。
これに対し、開発中のニュートロンは約13,000kgを搭載できる計画です。輸送能力は40倍以上になり、同社が狙える市場そのものが変わります。
大型衛星や衛星コンステレーション、政府・防衛関連の案件など、従来よりもはるかに規模の大きい市場へ参入できるからです。
ニュートロンの打ち上げ料金は1回5,000万〜5,500万ドルが予定されています。実用化され、打ち上げ回数が増えれば、ロケット・ラボの売上高を大きく押し上げる可能性があります。
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成長のカギは再利用と打ち上げ頻度
ニュートロンの重要性は、大型化だけではありません。
ロケット・ラボはニュートロンのエンジンを最大20回再利用する計画です。再利用が安定して実現すれば、打ち上げ回数が増えるほど1回あたりのコストを下げやすくなります。
これはスペースXがファルコン9で確立した成長モデルに近いものです。
ただし、ニュートロンが1回打ち上げに成功すればよいわけではありません。高い成功率を維持しながら打ち上げ頻度を増やし、再利用によって実際にコストを削減できるかが重要です。
ロケット・ラボは2026年9月19日にエレクトロンの96回目の打ち上げ成功を達成しました。この実績は、新興宇宙企業の中では大きな強みです。
ニュートロンは新型ロケットなので同じ成功が保証されるわけではありませんが、ロケットを量産し、繰り返し打ち上げる運用能力をすでに持っている点は評価できます。
イリジウム買収で「通信」まで取り込む
もう1つの大きな転換点が、イリジウムの買収です。
イリジウムは年間8億5,000万ドル超の売上高を持つ衛星通信企業です。バロンズによると、買収が完了すればロケット・ラボの年間売上高はおおむね2倍になる可能性があります。
しかし、重要なのは単純な売上高の増加ではありません。
ロケット・ラボは衛星関連機器の製造からロケット打ち上げまで手掛けています。そこに衛星通信サービスが加われば、衛星を作り、打ち上げ、運用し、通信サービスを提供するところまで事業領域を広げられます。
これはロケットとスターリンクを組み合わせているスペースXに近い垂直統合モデルです。
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安定収益が加わる意味は大きい
ロケット打ち上げ事業は、大型案件の時期によって売上高が変動しやすいという特徴があります。
一方、衛星通信は顧客契約が継続すれば、比較的安定した収益を得やすいビジネスです。
イリジウムを傘下に収めることで、「成長性の高いロケット事業」と「継続収入が期待できる通信事業」を組み合わせられる可能性があります。
これはロケット・ラボにとって重要です。
ロケット開発には巨額の資金が必要です。通信事業から安定したキャッシュフローを得られれば、ニュートロンや次世代宇宙技術への投資を継続しやすくなります。
スペースXに勝つ必要はない
ロケット・ラボを「第2のスペースX」と呼ぶことには注意が必要です。
スペースXはファルコン9、ファルコン・ヘビー、スターリンク、スターシップなどを展開しており、規模ではロケット・ラボを大きく上回ります。
しかし、ロケット・ラボがスペースXに勝つ必要はありません。
宇宙市場が今後拡大すれば、打ち上げ、衛星、通信、防衛などの分野で複数の大手企業が共存する可能性があります。
特に米国政府や防衛分野では、宇宙インフラを特定の1社だけに依存しない需要も考えられます。ロケット・ラボが「スペースXに次ぐ有力な選択肢」という地位を確立できれば、大きな成長余地があります。
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株価は期待先行にも注意
一方で、事業の将来性が高いことと、株価が割安であることは別の問題です。
現在の株価には、ニュートロンの成功やイリジウム買収、宇宙市場拡大への期待が織り込まれている可能性があります。
ニュートロンの開発遅延、打ち上げ失敗、コスト増加、イリジウム買収後の統合などが想定通り進まなければ、株価が大きく調整するリスクがあります。
今後はニュートロンの初飛行だけでなく、その後の打ち上げ頻度、再利用実績、顧客獲得、利益率の改善を確認する必要があります。
ロケット・ラボは宇宙インフラ企業へ進化できるか
ロケット・ラボの魅力は、単に「宇宙市場が成長する」というテーマだけではありません。
小型ロケット企業から、大型ロケット、衛星製造、宇宙機器、衛星通信、政府・防衛需要まで取り込む総合宇宙企業へ変わろうとしている点にあります。
ニュートロンが高頻度で利益を生むロケットに成長し、イリジウム買収によって安定した通信収益を取り込めれば、企業価値は現在とは大きく異なるものになる可能性があります。
一方で、大型ロケットの商業化と大型買収を同時に進めるため、実行リスクも小さくありません。
ロケット・ラボを見るうえで今後最も重要なのは、「有望な宇宙企業」から「安定して利益を生み出す宇宙インフラ企業」へ進化できるかです。
ニュートロンとイリジウムが、その成否を左右する2つの大きなカギになります。
情報ソース: Barron’s: “Rocket Lab Looks More and More Like a SpaceX Competitor. The Stock Is Up.” (By Mariapaula Gonzalez, Updated Sept. 21, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
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