宇宙関連株として人気を集めてきたロケット・ラボ(RKLB)の株価が大きく調整しています。直近3カ月では約46%下落しました。
しかし、業績悪化による急落ではありません。売上高は拡大を続けており、ウォール街では依然として強気の見方が目立ちます。
バロンズが注目しているのは、ロケット・ラボが単なるロケット打ち上げ企業から、人工衛星の製造や衛星通信まで手掛ける総合宇宙企業へ変わろうとしている点です。
目標株価80ドルで「買い」
バロンズによると、レイモンド・ジェームズのアナリスト、ブライアン・ゲスエール氏はロケット・ラボのカバレッジを開始し、投資判断を「買い」、目標株価を80ドルとしました。
記事掲載時点の株価から約30%の上昇余地を見込んでいます。
ロケット・ラボは小型ロケット「Electron」による打ち上げに加え、人工衛星や宇宙機器を製造しています。さらに大型ロケット「Neutron」を開発しており、より大型の衛星打ち上げ市場への参入を目指しています。
これまでの「小型ロケット企業」という位置付けから事業領域が大きく広がりつつあります。
イリジウム買収でスペースX型の企業へ
もう1つの重要な材料が、2026年6月に発表したイリジウム・コミュニケーションズ(IRDM)の買収計画です。
イリジウム・コミュニケーションズは世界規模の衛星通信ネットワークを展開しています。
買収が完了すれば、ロケット・ラボはロケット打ち上げ、宇宙機製造、衛星運用、通信サービスまでを一体で提供できるようになります。
これは、ロケットと衛星通信サービス「スターリンク」を組み合わせてきたスペースX(SPCX)に近い垂直統合モデルです。
ただし、両社には大きな違いがあります。
レイモンド・ジェームズは、ロケット・ラボの方が早くフリーキャッシュフローを黒字化できる可能性に注目しています。
スペースXより2年早い2028年に黒字化予想
ゲスエール氏は、ロケット・ラボが2028年にフリーキャッシュフローを黒字化すると予想しています。
一方、スペースXはAIデータセンターなどへの大規模投資を続けているため、フリーキャッシュフローの黒字化は2030年になるとの見方です。
企業規模ではスペースXが圧倒的ですが、株式投資では成長率だけでなく、いつ現金を生み出せる企業になるのかも重要です。
ロケット・ラボが大型投資のピークを越え、2028年からキャッシュを生み出せるようになれば、企業価値を評価するうえで大きな転換点になります。
売上高は約3倍の29億ドルへ
成長予想も強気です。
ロケット・ラボの売上高は2025年の約6億ドルから、2026年には約9億6,000万ドルまで増加すると予想されています。
さらに2028年にはロケット・ラボ単独で約18億ドル、イリジウム・コミュニケーションズを加えると約29億ドルに達するとの予想が示されています。
2025年と比較すれば、約3年間で事業規模が大きく変わる計算です。
ロケット打ち上げだけでなく、衛星通信、防衛、宇宙機製造など複数の収益源を持つことが、この成長シナリオのポイントです。
アナリストの83%が「買い」
株価の急落とは対照的に、ウォール街の評価は高水準です。
バロンズによると、ファクトセットが集計するロケット・ラボ担当アナリストの83%が「買い」と評価しています。
S&P 500構成銘柄では買い推奨比率が通常55~60%程度であるため、かなり高い水準です。
さらにアナリストの平均目標株価は約112ドルとされています。
46%急落の背景にスペースX
それでは、なぜ株価は下落したのでしょうか。
ロケット・ラボは8月に市場予想を上回る2026年第2四半期売上高を発表し、第3四半期についても堅調な見通しを示しました。
大きな悪材料が出たわけではありません。
バロンズは、6月に行われたスペースXの大型IPOが宇宙関連株全体の値動きに影響したとみています。
スペースX上場への期待から宇宙関連株は事前に大きく上昇しましたが、上場後にスペースX株がIPO価格135ドルを下回ると、関連銘柄にも利益確定売りが広がりました。
ロケット・ラボ株も5月末には150ドルを超えていましたが、7月末には59ドルを下回る場面がありました。
Neutronとイリジウムが今後の焦点
ロケット・ラボの成長シナリオを左右するのは、大型ロケット「Neutron」とイリジウム・コミュニケーションズの統合です。
Neutronが計画通り商業化されれば、ロケット・ラボが参入できる打ち上げ市場は大きく広がります。
さらに衛星通信事業を取り込むことができれば、打ち上げ需要だけに左右されない収益構造を構築できます。
一方で、ロケット開発には巨額の資金が必要です。開発遅延やコスト増加、買収後の統合が想定通り進まないリスクには注意が必要です。
まとめ
ロケット・ラボ株は3カ月で約46%下落しましたが、事業の成長シナリオそのものが崩れたわけではありません。
ウォール街が注目しているのは、Neutronによる打ち上げ能力の拡大、イリジウム・コミュニケーションズ買収による衛星通信への進出、そして2028年のフリーキャッシュフロー黒字化です。
スペースXが切り開いた宇宙市場がさらに拡大するなか、ロケット・ラボが「小型版スペースX」から独自の総合宇宙企業へ進化できるかが焦点になります。
現在の株価下落が長期投資家にとって機会になるかどうかは、Neutronの開発進捗とキャッシュフロー改善が鍵を握ります。
情報ソース: Barron’s: “Rocket Lab Has Something SpaceX Doesn’t. The Case to Buy the Stock.” (By Al Root, Sept. 11, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「宇宙関連株は今が買い場?ASTスペースモバイルなど注目4銘柄を徹底比較」
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