AI向けクラウドインフラを手掛けるネビウス・グループ(NBIS)は、8月12日の米国市場開始前に第2四半期決算を発表しました。
今回の決算は、AIインフラ需要の強さを改めて示す内容となり、市場予想を上回る力強い成長を記録しています。
総売上高は前年同期比454%増の5億8,200万ドルとなり、ウォール街予想の5億7,000万ドルを上回りました。調整後四半期利益は2億3,600万ドルを計上しています。
特に注目されたのが、中核事業であるAIクラウド事業です。AIクラウド事業の売上高は5億7,500万ドルに達し、前年同期から約6倍に拡大しました。
つまり、今回の売上高のほぼすべてをAIクラウド事業が生み出していることになります。生成AIやAIエージェントの普及によってコンピューティング需要が急増するなか、ネビウスがその需要を直接取り込んでいる構図が鮮明になっています。
好決算を受けネビウス株は28%急騰
市場は今回の決算を高く評価しました。
決算発表を受け、ネビウス株は8月12日の米国市場で28%急騰し、2025年9月以来の大幅な上昇となりました。2026年に入ってからの株価は、すでに約3倍の水準まで上昇しています。
AI特化型クラウドへの投資家の期待はネビウスだけに向かっているわけではありません。同業のコアウィーブ(CRWV)も12日に19%急騰し、2026年に入ってから50%以上上昇しています。
こうした値動きからは、AI半導体そのものだけではなく、GPUなどを利用できるクラウドインフラを提供する企業へ投資資金が広がっていることが分かります。
AI開発競争が続く限り、大規模なコンピューティング能力を必要とする企業は増える可能性があります。ネビウスの今回の成長率は、その実需の強さを数字で示した結果と言えます。
売上高6倍が示すAIクラウド需要の強さ
今回の決算で特に重要なのは、単純に売上高が増えたという点だけではありません。
AIクラウド事業の売上高が5億7,500万ドルまで拡大し、前年比約6倍となったことで、ネビウスの成長がAIインフラ市場の拡大と強く連動していることが確認されました。
さらに調整後四半期利益が2億3,600万ドルに達した点も注目されます。
AIインフラ企業の中には、データセンターやGPUへの巨額投資を優先することで赤字が続く企業も少なくありません。その中でネビウスが高成長と利益の両方を示したことは、市場から高く評価されやすい材料です。
一方、現在の454%という売上成長率が長期間続くと考えるのは現実的ではありません。今後は成長率そのものよりも、売上規模を拡大しながら利益率を維持できるかが重要になります。
浮動株の約30%に達する大量の空売り
好業績の一方で、ネビウス株には非常に大きな空売りポジションが積み上がっています。
7月末時点の空売り残高は6,020万株に達し、浮動株の約30%に相当します。
これは極めて高い水準です。
大量の空売りが存在する背景には、急激な株価上昇によってバリュエーションが過度に高まっているとの見方があります。また、AIクラウド業界ではデータセンターやGPUへの設備投資額が巨額になるため、将来的な資金調達や減価償却負担を警戒する投資家もいると考えられます。
さらに、著名投資家のマイケル・バーリ氏も先週、1株約211.77ドルの水準でネビウスに対する空売りポジションを公開しました。
強気派と弱気派の見方が大きく分かれていることが、現在のネビウス株の特徴です。
28%急騰の裏にショートスクイーズの可能性
今回の28%という急騰については、好決算を評価した通常の買いだけでは説明できない可能性があります。
浮動株の約30%が空売りされている状況で予想を上回る決算が発表されたため、空売り投資家が損失拡大を避ける目的で株式を買い戻した可能性があります。
いわゆるショートカバーです。
空売りの買い戻しが別の買い戻しを呼ぶと、ショートスクイーズが発生し、企業価値の変化以上に株価が短期間で上昇することがあります。
今回の決算では売上高、AIクラウド事業、利益のいずれも強い数字が示されました。そのため、弱気シナリオを前提としていた投資家にとっては、ポジションを維持しにくい状況になったと考えられます。
大量の空売り残高が短期間ですべて解消されるとは限らないため、今後も株価上昇局面ではショートカバーが値動きを増幅させる可能性があります。
ネビウス株で今後確認したい3つのポイント
ネビウスの今後を考えるうえでは、AIクラウド売上の成長率、利益の拡大、そして空売り残高の変化が重要になります。
現在の株価には、AIインフラ市場の成長期待がかなり織り込まれています。そのため、今後の決算で成長率が市場予想を下回れば、大きな調整につながるリスクがあります。
一方、AIクラウド売上が高い成長を続け、利益も同時に拡大するのであれば、現在の高い評価を業績によって正当化できる可能性があります。
ネビウスは現在、急拡大するAIインフラ需要という強力な追い風と、高いバリュエーションや巨額設備投資というリスクの両方を抱えています。
さらに浮動株の約30%という大量の空売りが加わっているため、当面はファンダメンタルズだけでは説明できない大きな値動きが続くことも想定しておく必要があります。
今回の決算は、ネビウスの成長力が単なる期待ではなく、実際の売上高と利益に表れ始めていることを示しました。今後はその成長をどこまで持続できるのかが、株価の方向性を左右する最大の焦点となります。
情報ソース: Barron’s: “Nebius Stock Soars 28% as Revenue Beat Bolsters AI Rally. Michael Burry May Be Helping.” (By Mackenzie Tatananni and Jack Denton, Aug 12, 2026)
※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。
*過去記事「ネビウスは第2のコアウィーブになれるか 売上7倍決算が示すAIインフラ争奪戦」
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