半導体ブームの本命は製造装置株 メモリ増産で注目されるKLA・AMAT・ASML

  • 2026年6月10日
  • 2026年6月10日
  • BS余話

半導体市場の上昇が続いています。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は2026年に入ってから大幅に上昇し、AI関連投資の拡大や半導体需要への期待が株価を押し上げています。

市場の注目は、エヌビディア(NVDA)をはじめとするAI半導体企業や、マイクロン・テクノロジー(MU)などのメモリメーカーに集まりがちです。

しかし、半導体業界全体で設備投資が拡大する局面では、チップを製造する企業だけでなく、その生産に欠かせない装置を供給する企業にも大きな成長機会が生まれます。

現在の半導体ブームにおいて、より安定した恩恵を受ける可能性があるのが、半導体製造装置メーカーです。

メモリメーカーが設備投資を拡大

マイクロン・テクノロジー、サムスン電子、SKハイニックスなどの大手メモリメーカーは、新たな製造拠点の建設や生産能力の増強を進めています。

AIデータセンターの拡大により、HBMと呼ばれる広帯域メモリをはじめ、DRAMやNAND型フラッシュメモリの需要が増加しているためです。

半導体の受託製造を手がけるファウンドリ各社も、製造装置を追加導入するため、クリーンルームの新設や既存施設の最適化を進めています。

こうした動きは、半導体業界が大規模な設備投資サイクルに入っていることを示しています。

一方、メモリメーカーによる生産能力の拡大にはリスクもあります。需要を上回るペースで供給能力が増えれば、将来的にメモリ価格が下落し、企業の利益率が悪化する可能性があるためです。

メモリメーカーにとって現在の設備投資競争は、AI需要を取り込むために必要である一方、将来の供給過剰を招く可能性もある難しい判断となります。

装置メーカーは設備投資の恩恵を受ける

メモリメーカーが設備投資競争を繰り広げる中、その恩恵を直接受けるのが半導体製造装置メーカーです。

6月9日の米国市場では、マイクロン・テクノロジーの株価が1.4%下落する一方、KLA(KLAC)アプライド・マテリアルズ(AMAT)などの製造装置関連株は上昇しました。

この株価の違いは、半導体市場における両者の立場を表しています。

メモリメーカーの業績は、メモリ価格や需給バランスの影響を強く受けます。製品価格が下落すれば、出荷数量が増えても売上や利益が圧迫される可能性があります。

これに対して製造装置メーカーは、半導体企業が工場を建設し、生産ラインを拡張する段階で装置を販売できます。

ゴールドラッシュで金を掘る人々にツルハシを販売した企業が安定して利益を得たように、製造装置メーカーは半導体企業の設備投資そのものから恩恵を受ける立場にあります。

製造された半導体の価格が将来下落したとしても、すでに計画された工場建設や装置導入が継続する間は、一定の需要が期待できます。

KLAとアプライド・マテリアルズに注目

KLAは、半導体の製造工程で発生する欠陥を検査し、生産品質を管理する装置を提供しています。

半導体の回路が微細化するほど、小さな欠陥が製品の性能や歩留まりに与える影響は大きくなります。このため、最先端半導体の生産では、検査装置や計測装置の重要性が一段と高まります。

アプライド・マテリアルズは、成膜や加工など幅広い半導体製造工程に対応する装置を供給しています。

メモリメーカーだけでなく、ロジック半導体やファウンドリなど幅広い顧客を持っている点が強みです。半導体設備投資が複数の分野に広がるほど、同社の事業機会も拡大します。

ASMLが持つ圧倒的な競争力

半導体製造装置業界の中でも、特に強い競争力を持つ企業がオランダのASML・ホールディング(ASML)です。

最先端半導体の製造には、極端紫外線を利用するEUV露光装置が欠かせません。現在、EUV露光装置を商業規模で製造できる企業は、事実上ASMLだけです。

エヌビディアなどが設計する高性能AI半導体も、実際の生産段階では高度な露光技術を必要とします。

世界の半導体メーカーが最先端チップの生産能力を拡大するためには、ASMLの装置を導入する必要があります。この構造が、同社に高い参入障壁と強力な価格決定力をもたらしています。

ただし、ASMLには米国やオランダ政府による対中輸出規制、顧客企業の設備投資延期、装置価格の上昇による導入負担などのリスクもあります。

圧倒的な技術力を持つ企業であっても、半導体市場の投資サイクルや地政学的な影響を受ける点には注意が必要です。

*過去記事「ASML決算は市場予想超えでも株安 2026年見通しとリスクを読み解く

半導体ブームではインフラ企業も重要

AI半導体市場では、エヌビディアやメモリメーカーの成長が大きく注目されています。

しかし、半導体メーカー同士の競争が激しくなるほど、製造装置、検査装置、露光装置などを提供する企業への需要も増加します。

メモリメーカーは価格下落や供給過剰のリスクを抱えますが、製造装置メーカーは各社の設備投資競争から幅広く恩恵を受けられる可能性があります。

KLA、アプライド・マテリアルズ、ASMLなどは、半導体を直接販売する企業ではありません。それでも、最先端半導体の生産に欠かせないインフラを提供することで、半導体スーパーサイクルの重要な受益者となっています。

半導体ブームの真の勝者を探す際には、完成したチップだけでなく、そのチップを作るための装置を誰が供給しているのかという視点も重要です。

情報ソース: MarketWatch: “ Micron and other memory makers are driving a ‘supercycle’ for this corner of the chip sector” (By Britney Nguyen, June 9, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

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