パランティア急騰が示すAIソフトウェア株の第2幕

2026年の米国株市場では、AI関連銘柄への評価が大きな転換点を迎えています。これまで市場の主役だった半導体やAIインフラ関連株に加え、足元ではソフトウェア株にも再評価の動きが広がり始めています。

その象徴的な存在が、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)です。同社株は直近で大きく反発し、AIソフトウェア企業に対する投資家心理の変化を映す銘柄として注目されています。

年初からソフトウェアセクターは、AIによって既存の企業向けソフトウェアが置き換えられるのではないかという懸念にさらされてきました。しかし、最近の市場動向を見ると、その悲観論はやや行き過ぎだった可能性があります。AIはソフトウェア企業にとって脅威であると同時に、新たな売上成長の源泉にもなり始めています。

スノーフレイク決算が変えた市場の見方

ソフトウェア株への見方が変わるきっかけとなったのが、スノーフレイク(SNOW)の好決算です。同社はAI関連機能の利用拡大や大型契約を背景に、市場の期待を上回る業績を示しました。
*関連記事「スノーフレイク株が時間外で急騰、AI時代のデータ基盤企業として再評価

特に注目されたのが、AIコーディングエージェント「Cortex Code(CoCo)」の利用拡大です。すでに7,100以上のアカウントで利用されていることは、企業向けAIツールが単なる実験段階を超え、実際の業務に組み込まれ始めていることを示しています。

さらに、スノーフレイクがアマゾン(AMZN)と60億ドル規模の長期契約を結んだことも重要です。これは、クラウドインフラとAIソフトウェアの結びつきが今後さらに強まることを示す材料といえます。

こうした動きを受け、アナリストの間ではスノーフレイクに対する目標株価や投資判断を引き上げる動きが相次ぎました。市場は、AIを活用するソフトウェア企業が本格的に売上を生み出す段階に入ったと評価し始めています。

この流れは、同じくAIを事業の中核に据えるパランティアにも波及しました。

パランティア株に生じている評価のねじれ

パランティアの株価には、現在興味深いねじれが生じています。

同社株は2025年に2倍以上へ上昇した後、2026年に入ってからは調整局面に入りました。直近では2日間で18%上昇し、株価は156.38ドルに達しましたが、それでも年初来では約12%の下落となっています。

一方、ナスダック指数は2026年にすでに16%上昇しています。つまり、パランティアは市場全体の上昇から取り残されていた銘柄の一つです。

しかし、株価の下落がそのまま業績悪化を意味するわけではありません。調査会社22V Researchの分析では、パランティアは「EPSの修正幅が大きく、経営陣のセンチメントがポジティブな企業」の上位グループに位置づけられています。マラ・ホールディングス(MARA)に次ぐ2位という評価は、同社の業績見通しがむしろ改善していることを示しています。

この点から見ると、パランティアは「業績期待は高まっているにもかかわらず、ソフトウェアセクター全体への警戒感によって株価が抑えられていた銘柄」と考えることができます。

デルとの提携が示すパランティアの強み

パランティアの将来性を考えるうえで重要なのが、デル・テクノロジーズ(DELL)との提携です。

両社は、ヘルスケアや防衛産業向けにオンプレミス型のAIオペレーティングシステムを提供しています。これは、パランティアの強みをよく表す取り組みです。

医療や防衛のように機密性の高いデータを扱う分野では、すべてをパブリッククラウドに移すことが難しい場合があります。データの安全性や規制対応を考えると、自社環境でAIを運用できるオンプレミス型の仕組みが必要になります。

パランティアは、こうした高いセキュリティ要求を持つ業界で強みを発揮してきました。デルのインフラと組み合わせることで、同社は単なるAIソフトウェア企業ではなく、「安全性の高いAI基盤を提供する企業」としての立ち位置を強めています。

多くのAIソフトウェア企業がクラウド上の汎用サービスで競争する中、パランティアは防衛、医療、政府機関、大企業向けの特殊なニーズに対応できる点で差別化されています。この参入障壁の高さこそが、同社の大きな競争力です。

AIソフトウェア株は期待から実績の段階へ

今回のパランティア株の急騰は、単なる短期的な買い戻しだけでは説明できません。むしろ、AIソフトウェア株に対する市場の見方が変わり始めたサインと見るべきです。

これまでAI関連投資の中心は、エヌビディア(NVDA)をはじめとする半導体やデータセンター関連銘柄でした。しかし、AIを実際の企業活動に組み込み、売上や利益の拡大につなげる段階に入れば、次に注目されるのはソフトウェア企業です。

パランティアは、AI活用の実績、EPS見通しの改善、デルとの提携による事業基盤の強化という複数の材料を持っています。短期的には株価変動の大きさに注意が必要ですが、中長期ではAIソフトウェアセクターの再評価を牽引する銘柄の一つになる可能性があります。

ソフトウェア株は、AIに破壊される側から、AIを活用して成長する側へと見直されつつあります。パランティアの急騰は、その「第2幕」の始まりを示しているのかもしれません。

情報ソース: Barron’s: “ Palantir Stock Is Having Its Best Day in a Year. Software Looks Like a Buy Again.” (By Mackenzie Tatananni, May 29, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら パランティア PLTR

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