サイバーセキュリティ株はAI相場の次の主役か 2028年まで高成長が期待される注目銘柄

現在、テクノロジー市場は生成AI(人工知能)のインフラ構築に沸いています。さらにスペースXのIPO(新規株式公開)が迫り、オープンAIやアンソロピックといったAIの寵児たちのIPOも期待される中、投資家の視線は華やかなAIモデルやハードウェアに奪われがちです。

しかし、投資家として今本当に注目すべきは、そのインフラと自動化された世界を守るプラットフォーム、すなわちサイバーセキュリティセクターではないでしょうか。

今回は、投資情報メディアのマーケットウォッチが報じたデータとアナリストの見解をベースに、2028年に向けたサイバーセキュリティ株の将来性と、今投資家が取るべきアプローチについて考察します。

サイバーセキュリティ株の上位銘柄の抽出条件とデータ

まず、今回分析の対象とするサイバーセキュリティ株の抽出条件を説明します。

対象となったのは、サイバーセキュリティ業界に特化した3つのETF、すなわちアンプリファイ・サイバーセキュリティETF(HACK)、ファースト・トラスト・ナスダック・サイバーセキュリティETF(CIBR)、グローバルX・サイバーセキュリティETF(BUG)が保有する全55銘柄です。

ここから、以下の条件でスクリーニングが実施されました。

  • LSEGによる調査で5人以上のアナリストがカバーしていること
  • 2028年までの売上高予想(コンセンサス)が存在すること

この条件をクリアした43銘柄の中から、2026年から2028年までの予想売上高の年平均成長率(CAGR)が高い上位15社を抽出しています。選出された企業はすべて米国企業であり、データはLSEGおよびファクトセット(ネットスコープの予想PSRのみ)に基づいています。

予想売上高CAGR上位銘柄

企業名予想売上高CAGR(2026年から2028年)予想PER予想PSR
ブロードコム(AVGO)36.9%26.914.6
クラウドフレア(NET)27.1%154.323.9
クラウドストライク(CRWD)22.3%122.626.4
アリスタネットワークス(ANET)22.3%35.314.1
データドッグ(DDOG)22.0%80.616.1
ルーブリック(RBRK)20.8%208.48.0
ネットスコープ(NTSK)20.6%N/A5.0
テロス(TLS)20.5%25.01.7
Zスケーラー(ZS)19.1%38.27.3
ジェイフロッグ(FROG)18.5%71.113.2
マイクロソフト(MSFT)18.1%21.98.3
アルファベット(GOOGL)17.9%27.19.0
センチネルワン(S)17.2%46.34.8
ヴァロニス・システムズ(VRNS)17.1%129.84.5
セイルポイント(SAIL)17.0%43.86.4

※ネットスコープの予想PERは、今後12ヶ月で赤字が予想されているためN/A(該当なし)となっています。

市場平均を圧倒する成長力と評価額の二極化

上記の表から読み取れる最も重要な事実は、サイバーセキュリティセクター全体の成長スピードが、市場平均を遥かに凌駕しているという点です。

S&P 500の市場平均成長率が7.9%、ハイテク株中心のS&P 500 情報技術(IT)セクターの平均が20.1%であるのに対し、リストの上位8社(ブロードコムからテロスまで)はITセクター平均をも上回る20%超の成長が予測されています。最も成長率の低いセイルポイントでさえ17.0%であり、市場全体の2倍以上のスピードで拡大を続ける見通しです。

一方で、投資家が直面するのは評価額(バリュエーション)の極端な二極化です。

クラウドフレア、クラウドストライク、ルーブリックなどは、20%超の素晴らしい成長率を誇る反面、予想PERは100倍から200倍を超えています。これはITセクターの平均PER(24.3倍)を大幅に上回っており、市場からの期待値が極めて高い分、わずかな業績のブレが株価下落に直結するリスクを内包していると考えられます。

対照的に、割安感が際立つ企業も存在します。トップの成長率(36.9%)を誇るブロードコムは、予想PERが26.9倍とITセクター平均をわずかに上回る程度であり、成長力に対して非常に効率的な水準にあります。

また、マイクロソフトとアルファベットは、18%前後の安定した成長が見込まれながら、PERは20倍台と市場平均並みです。さらにテロスに至っては、20.5%という高い成長率でありながら予想PSRが1.7倍と、S&P 500平均(3.3倍)の半分以下にとどまっており、市場から見過ごされているディープバリュー株の可能性を示唆しています。

AIエージェント時代に向けた次なる主戦場

このセクターの長期的なポテンシャルを語る上で欠かせないのが、AIエージェント(自律型AI)への進化です。

スペースX、オープンAI、アンソロピックといった企業が牽引するAIインフラの発展により、今後はAIが自ら判断して行動する自律型エージェントがネットワーク上で無数に稼働することになります。それに伴い、悪意を持ったAIの侵入やAIエージェントによるデータ漏洩といった新たな脅威が生まれます。

アナリストが指摘するように、今後のサイバーセキュリティは単なる壁ではなく、AIエージェントの行動そのものを監視し保護する基盤へと役割を変えていきます。

この新たな主戦場では、全方位の防御プラットフォームを提供するクラウドストライク、パロアルトネットワークス(PANW)、Zスケーラー、クラウドフレアのような企業や、データとアイデンティティ保護に特化したルーブリック、オクタ(OKTA)、セイルポイント、コムボルトシステムズ(CVLT)などが、極めて強固な競争優位性を築くことになると予想されます。

投資戦略としては、高い期待値を背負いながらも次世代の覇権を握るプラットフォーム型企業を狙うか、あるいはブロードコムやマイクロソフトのような成長とバリュエーションのバランスが良い銘柄、テロスのような割安銘柄を厳選するか、慎重な見極めが求められます。

情報ソース: MarketWatch: “These cybersecurity stocks are poised for rapid growth through 2028, and some of them are cheap right now” (By Hannah Pedone and Philip van Doorn, May 23, 2026)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事「サイバーセキュリティ株に復活の兆し AI時代に需要が拡大する理由

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