ブロードコム暴落は「買い」の好機か?JPモルガンが描くAI売上1,000億ドルのシナリオ

先週、米国市場で衝撃が走りました。半導体大手ブロードコム(AVGO)の株価が、わずか3営業日で18%も急落したのです。これはパンデミック初期の2020年3月以来、最大の下落幅となります。

しかし、市場が悲観に暮れる中で、ウォール街の一部では全く異なる見方が浮上しています。バロンズ紙が報じたJPモルガンの分析に基づき、この暴落がなぜ「千載一遇のチャンス」になり得るのか、その将来性を紐解いていきます。

市場の「恐怖」と「実態」の乖離

まず注目すべきは、株価の動きと業績見通しのギャップです。直近の決算発表におけるオープンAIとの契約に関するコミュニケーションの混乱、例えば具体名の不記載などが嫌気され、株価は大きく売り込まれました。

しかし、冷静に数字を見ると、成長ストーリーは崩れるどころか加速していると言えます。JPモルガンのハーラン・サー氏による予測では、同社のAI関連売上は以下のように推移すると見られています。

  • 2025年度(実績/見込み):約200億ドル
  • 2026年度予想:550億ドル~600億ドル
  • 2027年度予想:1,000億ドル超

わずか2年でAI売上が5倍の規模、金額にして1,000億ドル(約15兆円規模)に達するという予測は驚異的です。市場は短期的な情報の不透明さに過剰反応していますが、この成長軌道が事実であれば、現在の株価下落は、将来の巨大なキャッシュフローを割安に手に入れる機会と考えられます。

「カスタムチップ」という最強の防波堤

AI半導体といえばエヌビディア(NVDA)のGPUが想起されますが、ブロードコムが主戦場とするのは顧客専用に設計される「カスタムチップ(ASIC)」の領域です。

ここでのポイントは、市場全体の成長率とブロードコムの立ち位置です。カスタムチップ市場は現在年間300億ドル規模ですが、今後年平均40~45%というハイペースで成長すると予測されています。そして、この急成長市場において、ブロードコムはシェア1位の座に君臨しています(2位はマーベル・テクノロジー(MRVL))。

大手テック企業が汎用GPUから、より電力効率の良い自社製チップへシフトする流れは不可逆的です。市場シェアトップであるブロードコムは、エヌビディアと競合するのではなく、「共存」しながら確実に利益を積み上げるポジションを確立していると分析できます。

2027年以降の「隠し玉」オープンAI案件

今回の暴落のトリガーとなったオープンAIとの関係性ですが、長期的視点に立てば、むしろアップサイドの要因として残されています。

アナリストの分析によれば、オープンAIとの10ギガワット規模のAI計算能力構築プロジェクトは、2027年以降に本格化すると見られています。その収益インパクトは1ギガワットあたり最大250億ドルにのぼる可能性があります。

つまり、足元の決算での「公表なし」は、プロジェクトの消滅を意味するものではなく、収益貢献のタイミングが数年先であることを示唆しているに過ぎません。短期筋が失望売りをする一方で、2027年を見据える長期投資家にとっては、ノイズに惑わされずにポジションを構築する局面と判断できます。

結論:JPモルガンが「トップピック」とする理由

JPモルガンがブロードコムを半導体セクターの「来年のトップピック」に指定し、目標株価を現在の水準から大きく上離れした475ドルに設定しているのには、明確な根拠があります。

  • 圧倒的なAI売上の成長予測(2年で5倍)
  • 高成長市場でのシェアNo.1
  • 将来の巨大なパイプライン(オープンAI案件)

直近の18%暴落は、これらファンダメンタルズの強さを無視したパニック売りの側面が強いと考えられます。市場が冷静さを取り戻し、2026年度以降の数字を織り込み始めた時、現在の株価は「底値」だったと振り返ることになる可能性があります。

情報ソース: Barron’s: “Broadcom Stock Got Stomped. Why It’s Still J.P. Morgan’s Top Chip Pick.” (By Adam Clark, Dec 16, 2025)

※本記事は情報の提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。投資は自己責任で行ってください。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

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