米国株市場では、AI関連の成長が続く中で巨大テクノロジー企業の影響力がますます強まっています。しかし、最新の保有データを見ると、意外にも「主要ファンドがこれらの銘柄をあまり保有していない」という状況が明らかになっています。
外部機関が公開資料(13-F)をもとに行った分析では、メガキャップテクノロジー株の保有比率が、過去十数年と比較しても著しく低い水準にあると指摘されています。この“過少保有”という現象は、一見ネガティブに見えますが、市場ではむしろ強気材料となる可能性がある点に注目が集まります。
大型テック株の“過少保有”現象が示す市場のゆがみ
公開されているデータでは、以下の企業が特に「指数に対して十分に保有されていない」とされています。
- エヌビディア(NVDA)
- アップル(AAPL)
- マイクロソフト(MSFT)
- アマゾン(AMZN)
- ブロードコム(AVGO)
これらはいずれも市場をけん引する主要銘柄です。AIインフラ、半導体、クラウドサービスなどを軸に長期的な成長が期待されるにもかかわらず、多くのアクティブファンドでは組み入れ比率が低い状態にあります。
この状況は、投資家のセンチメントと企業の実力との間に“ギャップ”が生じている証拠であり、市場の再評価フェーズがこれから訪れる可能性を示唆します。
“持たれていない優良銘柄”は上昇しやすいという特性
過去の市場データを基にした分析では、アクティブファンドの保有が指数比で低い銘柄ほど、その後のパフォーマンスが良好になりやすい傾向が確認されています。これは、投資家が「持っていないこと自体がリスク」になる局面で起こる動きです。
つまり、以下の流れが発生しやすくなります。
- 決算が良かった時に急速に買い戻しが入る
- 資金ローテーションのタイミングでまとまった買いが流入する
- AI関連テーマの再評価が進むと需要が一気に高まる
現在の“過少保有”状態は、このような強気シナリオが発生する土台になり得ます。
反対に“保有されすぎている銘柄”に潜むリスク
一方で、主要ファンドで指数以上に保有されている企業も存在します。
- インテュイット(INTU)
- セールスフォース(CRM)
- アドビ(ADBE)
- デル・テクノロジーズ(DELL)
これらの企業は年初来の株価パフォーマンスが軟調で、
特にセールスフォースは年初来で3割以上の下落、アドビは年初来で2割以上の下落といったデータも確認されています。
“過剰保有”の状態では、ネガティブなニュースが出た際に資金の流出が加速しやすく、株価調整が長引くリスクがあります。
テック株の再評価フェーズはこれから始まる可能性
現在の大型テック株の保有状況からは、以下のような示唆が得られます。
- 市場を代表する銘柄が十分に保有されていない
- AI関連銘柄の本格的成長はこれから本領発揮の段階
- 半導体・クラウド・AIインフラ銘柄は資金流入の余地が大きい
- 過剰保有の銘柄は調整圧力が残りやすい
特にエヌビディアやブロードコムのようなAIインフラ企業は、構造的に需要が高まる流れが続いており、今後の追随買いが株価上昇のトリガーになる余地があります。
市場ではしばしば、
“まだ誰も持っていない優良銘柄こそ、大きく上昇する”
という局面が訪れます。
今回の「過少保有」というデータは、その前触れの可能性があります。
出典(情報源)
MarketWatch:“This surprising stat could be a bullish signal for Big Tech stocks”(2025年11月19日公開)