2025年11月12日、アメリカのIBM(IBM)が量子コンピュータ向けの新しいチップを発表しました。
1つは「Loon(ルーン)」という実験用チップで、これまで難しかった“エラーを自動で直す”仕組みを初めて実現したものです。
もう1つの「Nighthawk(ナイトホーク)」は、これまでで最も高性能なチップで、120個の量子ビット(情報を扱う単位)を持っています。
IBMは2030年までに「エラーが少なく安定して動く量子コンピュータ」を作ることを目標にしています。
“IBM announced an ‘experimental processor’ called Loon, which it said is its first to demonstrate all the key processor components needed for fault-tolerant quantum computing.”
(出典: MarketWatch, “IBM sees a big milestone ahead for quantum computing — and it hinges on these new chips”, Nov. 12, 2025)
分析と考察
量子コンピュータは、今のパソコンとはまったく違う仕組みで動く「未来のコンピュータ」です。
今のコンピュータが「0か1」で情報を処理するのに対し、量子コンピュータは「0でもあり1でもある」という中間の状態を使って計算します。これにより、複雑な問題を一気に解くことができるようになります。
ただし、これまでの量子コンピュータは、少しの温度変化や振動でも誤作動を起こす「不安定さ」が問題でした。IBMが今回発表した新チップは、この問題を解決する“耐障害性(フォールトトレラント)”の実現に近づくものです。
この進歩によって、将来は「新しい薬の開発」「素材の発見」「気候変動のシミュレーション」など、今のスーパーコンピュータでも難しい計算ができるようになると期待されています。
IBMは、こうした技術を活かして「量子コンピュータでしか解けない問題」を2026年にも実現できるとしています。これが成功すれば、IBMはAIの次に来る「量子時代の主役」になる可能性があります。
投資の視点から見ると、IBMの量子事業はまだ収益化の初期段階にありますが、AIほど大きな設備投資を必要としないため、長期的に高い利益率を狙える分野といえます。すでにIBMの株価は年初来で上昇しており、「量子関連のリーダー企業」として市場の注目を集めています。
*過去記事はこちら IBM
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