バロンズ(Barron’s)のコラムニスト、ランドール・W・フォーサイス氏は、2025年10月31日付の記事で、メタ・プラットフォームズ(META)がAI投資拡大の最前線に立つ存在となっていると指摘しました。記事は、同社の積極的なAI関連支出が市場に与えたインパクトと、テクノロジー大手全体の資本支出構造の変化に焦点を当てています。
AIデータセンターへの巨額投資が株価を圧迫
メタは2025年の設備投資見通しを710億ドルへ上方修正し、翌年2026年にはさらに支出を拡大する計画を明らかにしました。この発表を受けて株価は一日で11%急落しました。記事では、こうしたAI関連の巨額支出が企業のキャッシュフローを圧迫しており、「かつて“軽資本型”だったハイテク企業が“重資本型”へと変貌している」と分析しています。
シーブリーズ・パートナーズのダグ・キャス氏は、メガテック企業がAI開発のために外部資金調達へ依存し始めた点を指摘。メタは年内最大規模となる300億ドルの社債を発行し、AIデータセンター整備のための資金を確保しました。
AI関連の社債発行は急拡大
記事によると、バンク・オブ・アメリカの調査では、過去2か月でAI関連の公的債券発行が合計750億ドルに達しています。これに加え、メタはルイジアナ州のデータセンター開発でバランスシート外の資金調達も行っており、オラクル(ORCL)が関わる380億ドル規模の融資が含まれています。
こうした動きは、アマゾン(AMZN)、アルファベット(GOOGL)、マイクロソフト(MSFT)といった他のメガテック企業にも共通しており、AI投資のための資本支出がキャッシュフローの9割近くに達しているとされています。記事では「企業がAI投資を自前資金のみで賄える限界に近づいている」と警鐘を鳴らしています。
株主還元よりAI投資を優先する動き
フォーサイス氏は、今後メガテック企業が株主還元を縮小し、AI関連支出を優先する可能性を指摘しています。自社株買いを減らすか、あるいは株式や社債の発行で資金を確保する道を選ぶことになると述べています。
現時点では、投資家の需要が高く、メタの社債には1200億ドルを超える応募が集まりました。格付けはムーディーズでAa3、S&PでAA-と高格付けであり、資金調達環境が非常に良好であることを示しています。
クレジットサイクルとAI投資の持続性
記事の結びでは、「テクノロジー業界はこれまで信用サイクル(クレジットサイクル)に依存してこなかったが、AI投資を継続するには今後この流れを無視できない」と警告しています。AIは長期的な利益をもたらす可能性がある一方で、資金調達コストの上昇が企業経営のリスク要因になることを示唆しています。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ
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