IBM決算で明暗 AI好調もRed Hatの減速が株価を圧迫

  • 2025年10月23日
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米テクノロジー大手のIBM(IBM)の株価は、2025年10月22日の時間外取引で約5%下落しました。主な要因は、同社のソフトウェア部門、とくにRed Hat事業の成長鈍化が投資家の懸念を呼んだためです。

ソフトウェア部門の伸び鈍化が焦点に

IBMは9月期決算でソフトウェア売上を72億ドルと発表しました。この数字はアナリスト予想と一致しましたが、成長率の減速が注目されました。ハイブリッドクラウド収益は前年比14%増、オートメーション事業は24%増、データ事業は8%増でしたが、トランザクション処理は1%減少しました。とくにRed Hatの収益成長は為替影響を除くと12%増にとどまり、第2四半期の14%から減速しています。

シュティフェル証券は決算前に「季節的に弱い第3四半期では、ソフトウェア事業の成長が投資家の焦点になる」と指摘していました。

Red Hatの鈍化を懸念する声

エバコアISIのアナリスト、アミット・ダリヤナニ氏は、Red Hatの減速が市場の注目を集めるだろうと述べています。2019年に買収したRed Hatは、IBMのソフトウェア成長戦略の中心的存在であり、オープンソースのソフトウェア製品を提供しています。

ジェフリーズ証券のブレント・シル氏も、「IBMのソフトウェア成長が今後再加速するかどうかは、Red Hatの勢い次第」と分析しています。同氏によると、経営陣は15%台半ばの成長の維持に自信を示しています。

AIとクラウドが支える全体業績

IBMの9月期全体の売上は163億ドルで、前年同期比9%増、アナリスト予想の161億ドルを上回りました。調整後1株利益は2.65ドルで、予想の2.45ドルを20セント上回りました。

アルビンド・クリシュナCEOは声明で「全セグメントで業績が加速し、売上・利益・フリーキャッシュフローすべてで予想を上回った」と述べました。同社によると、AI関連ビジネスの規模は現在95億ドルを超えています。

通期では、為替調整ベースで売上5%超の成長と、フリーキャッシュフロー140億ドルを見込んでおり、ウォール街の予想(136億ドル)を上回る水準となります。

AI需要と買収シナジーが成長ドライバーに

ウェドブッシュ証券のダン・アイブス氏は、IBMがAI関連需要と複数の「有意義なパートナーシップ」により好調な四半期を維持していると指摘しました。同氏によると、IBMは営業、財務、マーケティング分野で70以上のAIワークフローを展開しており、Red HatやHashiCorpの買収によるシナジーが成長を後押ししています。

さらに、アイブス氏は「IBMはハイブリッドクラウドとAIの分野で世界的な投資拡大の主要な恩恵を受ける立場にある」と述べています。同社はスケーラブルでオープンな基盤を活用し、急速なイノベーションを進めています。


この決算では全体の売上と利益が堅調だった一方、Red Hat事業の減速が投資家の警戒感を招きました。今後は、AIとクラウドの成長を背景にソフトウェア部門の再加速が実現できるかが注目されます。

*過去記事はこちら IBM

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