AI投資レースの勝者はアルファベット?メタとの差が明確に

オッペンハイマー証券のアナリスト、ジェイソン・ヘルフスタイン氏は10月20日、人工知能(AI)投資の短期的なリターンという観点から、アルファベット(GOOGL)メタ・プラットフォームズ(META)よりも有利と評価しました。ヘルフスタイン氏は、アルファベットの目標株価を270ドルから300ドルに引き上げた一方で、メタの目標株価を870ドルから825ドルに引き下げ、いずれも「アウトパフォーム(市場平均を上回る)」の評価を維持しました。

AI活用の成果が出始めたアルファベット

アルファベットはAI関連の投資を積極的に進めており、特に検索分野において「AIオーバービューズ」や「AIモード」といった新機能の導入が成果を上げています。AIオーバービューズとは、検索ページの上部に自動生成されたAI回答を表示する仕組みで、ユーザーの検索回数を10%増やす効果があるといわれています。

また、アルファベットはAIモードにおける広告配信を拡大中で、2026年には広告売上に追い風が吹くと見込まれています。現在はベータテスト段階にあるものの、今後はより多くの市場に拡大する計画です。AI機能によって検索トラフィックと広告収益がともに増加しており、同社のAI投資が着実に成果を出し始めています。

メタのAI投資には不透明感も

一方、メタは長期的なAI戦略を推進していますが、短期的な収益化はまだ見通せていません。同社はAIを活用した広告最適化や生成AIの導入に数十億ドル規模の投資を続けています。しかし、ヘルフスタイン氏は「投資家はこれまでメタの大規模な設備投資を容認してきたが、その結果として高い成長率が維持できるかは不透明になりつつある」と指摘しました。

メタ株のバリュエーションは24.3倍と過去5年平均の21.3倍を上回っており、今後の収益拡大が株価を正当化できるかが焦点となります。

他のアナリストもアルファベットを評価

バンク・オブ・アメリカ証券のアナリスト、ジャスティン・ポスト氏もアルファベットのAI戦略を評価し、目標株価を252ドルから280ドルに引き上げ、「買い」評価を維持しました。ポスト氏は「ChatGPTの急速な普及にもかかわらず、アルファベット検索のトラフィックと収益化は健全に推移しており、生成AIの利用は全体市場の拡大要因になっている」と述べています。

AIを活用した検索広告の精度向上により、アルファベットは引き続き検索市場での優位性を保ちつつ、AI領域での成長も実現しています。

決算発表を前に注目が集まる両社

アルファベットとメタはともに10月29日に決算発表を予定しています。アルファベット株は10月20日時点で1.3%上昇し256.55ドルと史上最高値に迫る水準となりました。一方、メタ株も2.1%上昇して732.17ドルとなっています。

両社はAI分野への巨額投資を続けており、次回の決算ではそれぞれの戦略の成果が注目されます。短期的なリターンではアルファベットが優位に立つものの、メタの長期的な成長ポテンシャルも依然として評価されています。

*過去記事 アルファベット GOOGL  メタ・プラットフォームズ

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