米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の株価が上昇しています。背景には、オラクル(ORCL)との関係強化と、ウォール街の強気な見方が広がっていることがあります。
オラクルとの提携拡大:AIスーパークラスターを共同構築
AMDは、オラクルのクラウド部門であるオラクル・クラウド・インフラストラクチャ(OCI)と協力し、次世代AIチップ「Instinct MI450」シリーズを活用した初のパブリック向けAIスーパークラスターを立ち上げる計画を発表しました。
このスーパークラスターは、来年の第3四半期に5万個のGPUで稼働を開始する予定で、AMDの新しいラックスケールソリューション「Helios」によって最大72個のチップが連携して動作します。協業は2027年以降も継続される見通しです。
AMDとオラクルは昨年、AIチップ「Instinct MI300X」を共同展開しており、今回の発表は両社のパートナーシップをさらに強化するものです。OCIのエグゼクティブ・バイスプレジデントであるマヘシュ・ティアガラジャン氏は、「AIアプリケーション開発に必要なのは、堅牢でスケーラブルかつ高性能なインフラだ」と述べています。
この提携により、AMDはエヌビディア(NVDA)やブロードコム(AVGO)と並び、オープンAIと取引関係にある重要なAIインフラプレーヤーとしての地位を高めています。
アナリストの格上げと利益予想の上振れ期待
今月初め、オープンAIとの大型契約を受けて、ウォルフ・リサーチはAMDの株式評価を「アウトパフォーム(市場平均を上回る)」に引き上げました。
同社のアナリストは、AMDが2027年に1株あたり10ドル以上の利益を達成できる「保守的なシナリオ」を示し、これは市場コンセンサスの8.81ドルを上回る見通しです。AI関連収益については2027年に270億ドルに達する可能性があると分析しています。
ウォルフ・リサーチは、「AMDは今後、確実に実行できれば株価300ドルを目指せる」と指摘し、オープンAI以外の顧客獲得によってさらなる上昇余地があると述べています。
短期的にも、サーバー向け事業の堅調さから売上見通しが上方修正される可能性があるとしています。
エヌビディアに続くAI成長ストーリー
AMDは、エヌビディアが独占してきたAIチップ市場に本格参入しつつあります。オープンAIやオラクルといった大手との連携を通じて、次世代のAIデータセンター需要を取り込む戦略を進めています。
AI向けGPUの供給網が逼迫する中、AMDが持つ製造・設計両面での柔軟性が今後の成長ドライバーとなりそうです。
この動きにより、AMDの株価は10月8日に過去最高値をつけた後も堅調に推移しています。AIブームの第2波が本格化する中、AMDはエヌビディアの背中を確実に追い上げる存在となりつつあります。
*過去記事はこちら AMD
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