オープンAIの新しい短編動画アプリ「Sora」が、メタ・プラットフォームズ(META)の支配するソーシャルメディア市場に衝撃を与えています。
Soraは9月30日のリリースからわずか2週間で100万ダウンロードを突破し、米国App Storeでトップに立ちました。この急成長は、メタが運営するInstagramやFacebookにとって新たな脅威となっています。
分析レポートが示すメタへの警鐘
モフェットナサンソンのアナリスト、マイケル・ナサンソン氏はメタ株の投資判断を「買い」に据え置いたものの、目標株価を930ドルから890ドルに引き下げました。
ナサンソン氏は「メタがアルファベット(GOOGL)の“ChatGPTショック”に似た局面に直面している」と指摘しています。かつてAIチャットボットがGoogle検索の地位を脅かしたように、Soraがソーシャルメディアの勢力図を塗り替える可能性があると見ています。
ソーシャルメディアは「ユーザーの余暇時間を奪い合うゼロサム競争」であり、勝者と敗者が明確に分かれます。MySpaceやVineのように時代の変化に対応できなかった企業は衰退しました。メタも迅速な対応が求められています。
メタの対抗策「Vibes」と技術的課題
メタはオープンAIの動きを見越し、AI生成型動画アプリ「Vibes」をすでにローンチしています。
ナサンソン氏は、VibesをSoraに対抗する独立アプリとして育成するか、InstagramやFacebookに統合する可能性を指摘しています。
しかし、Vibesは現時点で技術面でSoraに劣るとされ、ユーザーが自分の動画をAI生成コンテンツと融合させる機能を持たず、さらに他社モデルに依存しています。
投資家心理と株価への影響
Soraの登場以降、メタ株はおよそ4%下落しています。
ナサンソン氏は「メタのエンゲージメント循環が脅かされれば、広告収益への期待が一気に冷え込み、株価が大きく調整する可能性がある」と分析しています。
現時点でオープンAIのSoraがメタの事業を直ちに脅かすわけではありませんが、AI生成動画がソーシャルメディアの主流となれば、メタは大規模なAI投資を余儀なくされる見通しです。
膨らむ設備投資とAI人材確保
モフェットナサンソンによると、メタの売上高に対する設備投資比率は2026年に43%へ達する見通しで、Reelsを収益化した2022年の27%を大きく上回ると予測されています。
メタはAI転換に向けたデータセンター拡張を進めると同時に、AI人材の採用を強化しています。最近ではAIスタートアップ「Thinking Machines」の共同創業者アンドリュー・タロック氏を採用しました。
このような取り組みは長期的な競争力を高める一方で、短期的には収益性を圧迫するリスクがあります。ナサンソン氏は「メタのAI転換は過去の製品転換よりも長期的かつコストのかかるプロセスとなり、投資家の忍耐が試される」と警告しています。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ
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