「次のカタリストはどこに?」AIと政府出資頼みの相場を読み解く

AMD

2025年10月に入り、米国株式市場ではAI関連の大型契約と政府の出資が相場をけん引する展開が続いています。経済指標の発表が政府閉鎖により遅れる中で、投資家は代替となる“材料”を探しており、その空白を埋めるのがオープンAIと主要半導体企業による戦略的提携、そしてトランプ政権の産業支援策です。

オープンAIがAMDと大型契約を締結

2025年10月6日に報じられたところによると、オープンAIは米半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)と複数年にわたる大型契約を結びました。契約には、オープンAIがAMDの株式10%を取得するオプションも含まれており、これを受けてAMD株は23.71%急騰しました。

この契約により、オープンAIは今後数年にわたり最大6ギガワット分のAMD製GPU「Instinct」を導入する予定です。1ギガワットは原子力発電所1基分の出力に相当し、2026年後半には初期の1ギガワット分が配備される見込みです。

AMDのCEOリサ・スー氏は「この契約は当社の技術ロードマップが正しいことの明確な証左である」と述べ、オープンAIがAMD製品をAIモデルの学習と推論の両方で使用することを強調しました。会社側は、この契約によって年間数十億ドル、最終的には累計で1,000億ドル超の売上が見込めるとしています。

エヌビディアとの関係はどうなる?

オープンAIは、2025年9月にエヌビディア(NVDA)とも1,000億ドル規模の提携を発表しており、今回のAMDとの契約がエヌビディアのシェアを奪うのではという懸念も生まれました。しかし、CEOサム・アルトマン氏は「今回の契約はエヌビディアとの協業に追加されるものであり、今後もエヌビディアからの調達は増やしていく」と述べ、両社との協調関係を強調しています。

政府出資銘柄にも資金流入

AIだけでなく、米政府による特定企業への出資も株価急騰の要因となっています。たとえば、カナダの鉱山企業トリロジー・メタルズ(TMO)は、ホワイトハウスが10%の出資を発表したことを受けて時間外取引で200%上昇しました。

他にも、インテル(INTC)MPマテリアルズ(MP)、リチウム・アメリカズ(LAC)といった企業も、政府の資本参加により大きな注目を集めています。

株式市場は新たなカタリストを探している

現在、米国市場ではFRB(米連邦準備制度理事会)がインフレ指標の遅れによって政策判断を見送っているほか、企業決算シーズンも本格化前という「カタリスト空白期」にあります。その中で、AI関連契約や政府出資は短期的な相場の燃料となっていますが、持続的な上昇にはさらなる材料が必要です。

現物ゴールド価格は初めて1オンス4,000ドルを突破し、安全資産需要の高まりも見られます。また、ビットコインも一時12万6,000ドルを超えるなど、リスク資産と代替資産の両方が物色される独特の相場環境となっています。


このように、AIと政府の力を背景に短期的には株価が活発化していますが、市場全体が新たなテーマを必要としているのは明らかです。今後の企業決算や経済統計の再開が、次の相場の方向性を占う重要なポイントとなりそうです。

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