ブロードコム(AVGO)は人工知能向け半導体の製造で注目される企業ですが、シティはAI依存にとどまらない成長シナリオを描いています。アナリストは「買い」の評価を継続し、目標株価を315ドルに設定しました。8月26日の終値で株価は298.01ドルと1.28%上昇しています。
同社は9月4日に2025年度第3四半期の決算を発表予定です。シティは売上が158億ドルを上回ると予想しており、前期比で6%の増加を見込んでいます。
AI事業の拡大と主要顧客
ブロードコムはメタ・プラットフォームズ(META)、アルファベット(GOOGL)、バイトダンスとの関係を深めており、各社が2027年までに約100万台規模のAIアクセラレータクラスターを展開する計画を示しています。さらにオープンAI、xAI、アップル(AAPL)といった新たな顧客候補もあり、2025年度のAI関連売上は前年比60%増の195億ドル、2026年度にはさらに37%増の267億ドルに拡大すると見込まれています。
ただしAI関連売上は利益率が低く、全体の粗利益率を押し下げる懸念もあります。しかし、他の事業の改善がその影響を相殺する可能性があるとシティは指摘しています。
AI以外の成長要素
シティは、ブロードコムの無線部門の成長も期待できるとしています。iPhoneの販売が予想以上に好調であり、これが無線部門の収益拡大に寄与する見込みです。また、非AIの半導体事業も回復傾向にあり、2023年1月に65億ドルだった売上が近年は40億ドル程度で推移していますが、今後の回復余地があると見られています。
市場環境と投資家心理
最近はAI株の過熱感に懸念が広がっており、パランティア・テクノロジーズ(PLTR)のようなAI関連銘柄が売られる場面もありました。オープンAIのサム・アルトマンCEOが「投資家はAIに過剰に期待している」と発言したことや、MITの調査で「95%の企業が生成AIからリターンを得られていない」と報告されたことが市場心理に影響しています。
それでもブロードコム株は年初来で27%上昇しており、AI需要への期待が株価を押し上げています。第2四半期の決算では予想をやや上回る結果でしたが、経営陣のガイダンスが市場予想並みにとどまったため、一時株価が下落しました。ホック・タンCEOは、AI専用チップの需要が2026年後半に加速すると見込んでいます。
アナリストの評価
市場全体では依然として強気な見方が優勢です。ファクトセットによると、ブロードコムをカバーする45人のアナリストのうち42人が「買い」と評価し、3人が「ホールド」、売却を推奨するアナリストは一人もいません。
*過去記事はこちら ブロードコム AVGO
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