IPO目前の注目企業データブリックス、AIで旧来のデータベースからの脱却を支援

  • 2025年8月5日
  • 2025年8月5日
  • BS余話

クラウドデータ企業のデータブリックスが、オンプレミスの旧型データベースからの脱却を支援する新たなAIサービスを発表しました。この記事では、2025年7月29日に米メディア「The Information」が報じた内容をもとに、同社の取り組みと業界の動向を紹介します。

データブリックスとは?IPOが期待されるユニコーン企業

データブリックスは、AIとビッグデータ処理に強みを持つ米国のクラウドソフトウェア企業で、Apache Sparkの開発者たちによって設立されました。企業向けにデータ分析や機械学習を統合的に行えるプラットフォームを提供しており、フォーチュン500企業の多くが導入しています。
現在は未上場ですが、評価額は数百億ドルに達しており、近い将来のIPO(新規株式公開)が市場関係者の間で強く期待されている注目企業です。

AIが企業の「オラクル離れ」を後押し

データブリックスが開発したAI技術は、旧式のアプリケーションコードを自動で書き換え、新しいクラウド環境への移行を可能にするものです。従来は人手による作業が必要で、多大な時間とコストがかかっていましたが、AIによってその負担が大幅に軽減されつつあります。

とくに注目されているのが、オラクル(ORCL)やマイクロソフト(MSFT)のSQL Server、テラデータ(Teradata)などのデータベースからの移行です。これらは多くの企業で長年使用されてきましたが、AIの進化により、より柔軟で効率的なクラウドベースの環境へとデータを移す動きが加速しています。

古いSQLの“方言”を新しい環境へ自動変換

データブリックス共同創業者のアルサラン・タヴァコリ氏によれば、これまでの移行ツールはあらかじめ決められたルールに基づいており、柔軟性に欠けていました。新しいAIは、異なるデータベースごとに微妙に異なるSQL文の“方言”を理解し、現代的なクラウドデータベースに適応させる能力があります。

たとえば、米フードデリバリー企業ドアダッシュ(DASH)は、複数のSQL言語のバリエーションを変換する社内ツールを、このAI技術を使って開発したことが紹介されています。

CIOたちが注目する「クラウド移行の切り札」

クラウドの普及が進んだ現在でも、企業や政府機関の多くのデータは依然としてオンプレミスに残っています。そうした中、AIによるコード変換や移行の自動化は、情報システム部門の責任者たち(CIO)にとって魅力的なソリューションとなりつつあります。

ただし、全企業が一斉にクラウドへ移行しているわけではありません。テラデータの広報担当者は、「ワークロードによって最適なデータ配置は異なる」と述べ、クラウドとオンプレミスの併用が今後も続く見通しを示しています。

今後の注目ポイント

AIによるデータベース移行の効率化は、クラウドへの移行を検討する企業にとって大きな転機となりそうです。今後は、実際にどのような企業がこの技術を導入し、どの程度のコスト削減や業務改善につなげるかが注目されます。

IPOへの期待も高まるデータブリックスが、企業のITインフラ変革にどこまで貢献できるか、今後の展開から目が離せません。

*過去記事「IPOラッシュ再来?注目の米テック3社が上場準備中

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