2025年7月28日、米投資情報メディア「バロンズ」は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)に対するウォール街の評価が上向いていると報じました。背景には、同社の人工知能(AI)向け半導体事業の成長が期待されていることがあります。
UBSが目標株価を引き上げ
スイスの大手金融機関UBSのアナリストであるティモシー・アーキュリ氏は、AMD株の目標株価を従来の150ドルから210ドルへと引き上げました。この新たな目標値は、現在の株価から21%以上の上昇余地があることを示しています。格付けは引き続き「買い」とされています。
同氏は、2025年6月期の業績においてPCとサーバーの両部門が好調だったことを理由に、上振れの可能性があると分析しています。
高価格での販売が期待されるMI355X
6月に発表されたAMDの最新AIチップ「Instinct MI350シリーズ(MI350XおよびMI355X)」も注目されています。MI355Xは1枚あたり2万5,000ドルでの販売が見込まれており、市場予想を上回る価格設定です。アーキュリ氏は、このGPUラインが年率で100億ドル規模の売上に達する可能性があると見積もっています。
ZT Systemsの買収でラックスケール市場へ本格参入
2025年3月、AMDはAIサーバー設計の専門企業ZT Systemsを買収しました。これにより、同社はチップやネットワーク機器、ソフトウェアなどを統合したエンドツーエンドの「ラックスケール」AIソリューションを提供する体制を整えつつあります。こうした取り組みは、エヌビディア(NVDA)が先行する分野への本格参入を意味すると分析されています。
株価は年初来で43%上昇
7月28日の終値でAMDの株価は173.66ドル、年初来で44%の上昇を記録しています。AIインフラ投資の拡大を追い風に、同社の成長は今後も注目されることになりそうです。
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