IBM好決算でも株価急落!市場が見逃さなかった“ひとつの不安”

  • 2025年7月24日
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2025年7月23日、米IT大手インターナショナル・ビジネス・マシーンズ(IBM)が2025年第2四半期(4〜6月期)の決算を発表しました。売上高・利益ともに市場予想を上回る好内容でしたが、発表後の時間外取引では株価が一時6%下落する展開となりました。

ソフトウェア部門の伸び悩みが株価の重しに

IBMは今回の決算で、売上高が170億ドルと前年同期比8%増(為替調整後では5%増)となり、市場予想の166億ドルを上回りました。調整後の1株当たり利益も2.80ドルと、予想の2.65ドルを超える結果でした。

しかし、IBMの中核事業であるソフトウェア部門の売上は74億ドルで、前年同期比10%増(為替調整後では8%増)と堅調ではあるものの、市場予想通りにとどまり、上振れには至りませんでした。この点が、決算内容全体のインパクトを弱めたとの見方が広がっています。

他部門は好調、AI関連でも成長継続

一方で、コンサルティング部門の売上は53億ドルと、予想をやや上回りました。インフラ部門に至っては、41億ドルと市場予想の38億ドルを大きく超える結果でした。

また、同社が注力する生成AIビジネスの売上は現在75億ドル規模に成長しており、今後の成長ドライバーとして期待されています。

キャッシュフロー見通しは上方修正

IBMは通期のフリーキャッシュフロー見通しを、従来の「約135億ドル」から「135億ドル超」に引き上げました。ただし、通期の売上成長見通し(為替調整後で5%以上)は据え置かれています。

株価は2025年に入って好調も、過熱感から調整か

IBMの株価は2025年年初から7月23日終値までで28%上昇しており、S&P500(8.4%上昇)や「マグニフィセント・セブン」の一角であるエヌビディア(23.5%上昇)をも上回るパフォーマンスを見せてきました。今回の決算後の下落は、これまでの急上昇の反動という見方もできそうです。

注目されたRed Hatの成長率は加速

投資家の注目を集めていたのが、IBMが2019年に買収したハイブリッドクラウド企業「Red Hat」の成長性です。第2四半期のハイブリッドクラウド売上(=Red Hatの売上と定義)は16%増(為替調整後では14%増)と、第1四半期の12~13%増から加速しており、一定の成果を示しています。

防御的な投資先としての評価は継続

バンク・オブ・アメリカのアナリストは、今回の決算前の時点でIBMを「収益成長が改善しつつあるディフェンシブな投資先」と評価しており、将来的なキャッシュフローの拡大を背景に、M&A戦略への再投資も期待できるとコメントしています。


IBM株は短期的には調整を迎えたものの、AI・クラウド・コンサルティング分野での事業拡大やキャッシュフローの強さは、中長期的には引き続き注目すべき要素となりそうです。

*過去記事はこちら IBM

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