ブロードコムが牽引するAI特化型チップ市場の成長

生成AIの進化に伴い、AIに最適化されたカスタム半導体の需要が急増しています。その中で、汎用GPUとは異なるポジションを築きつつあるのが、ブロードコム(AVGO)です。エヌビディアに代表されるAIブームの中、同社の成長戦略がいま再評価されています。

ブロードコムは長年にわたり半導体業界で高い実績を持ち、アップルのiPhone向け部品を供給していることでも知られています。しかし、近年注目を集めているのはAI向けのアプリケーション特化型集積回路(ASIC)です。

AI関連売上が急成長

ブロードコムのAIチップ事業は、直近の四半期で前年比46%の売上成長を記録しました。AI用途でのASICの需要が拡大するなか、それに伴って高速データ転送が可能なネットワーク製品の需要も高まっています。

とりわけ同社が新たに投入した「Tomahawk 6」イーサネットスイッチは、次世代AIモデルの学習に必要な10万個のAIチップを同時に動作させることが可能なデータ処理能力を備えています。これにより、ブロードコムのネットワーク事業も急成長を遂げており、前四半期には前年比170%の売上増を達成し、AI関連売上の40%を占めるまでになりました。

今後はAIチップが主役に

ただし、ブロードコムの経営陣は、今後はネットワーク製品よりもカスタムAIチップの売上の方が大きく伸びると見込んでいます。こうした見通しは、同社の成長性の高さを裏付けるものであり、2026年度まで堅調な成長が続くとされています。

高収益体質と成長期待が株価を後押し

ブロードコムは非常に高い利益率を誇っており、AI特化型半導体の需要拡大により、今後の業績にも大きな期待が寄せられています。現在、同社の株価は今年の市場予想利益の41倍、来年の予想利益では33倍という水準で取引されています。決して割安とは言えませんが、それだけ将来の成長を見込んだ投資家の期待が反映されています。

AI技術への積極的な投資と技術革新が続く限り、ブロードコムはAI半導体分野における有力企業として今後も高いリターンをもたらす可能性があります。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

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