エヌビディア依存の終焉?ビッグテックが選ぶ新たなAIチップ企業

生成AIブームが続く中、アマゾン、グーグル、メタ、マイクロソフトといった巨大テック企業は、エヌビディア(NVDA)の高価なGPUを大量購入しながら、データセンターへの巨額投資を続けています。しかし、このAI競争には終わりが見えず、コストスパイラルに陥っているとの見方も出ています。

エヌビディア依存からの脱却 ASICに注目

現状、エヌビディアのGPUはAI開発における事実上の標準ですが、各社はコスト削減を目的に自社専用のカスタムチップ、特にASIC(アプリケーション特化型集積回路)の導入を進めています。こうした動きの中で注目されているのが、ブロードコム(AVGO)マーベル・テクノロジー(MRVL)の2社です。

ブロードコムはグーグルと強固なパートナー関係

ブロードコムはAIチップ分野でエヌビディアに次ぐ2位のポジションを確立しつつあります。グーグルのTPU(Tensor Processing Unit)開発に深く関与しており、AIコンピューティング売上の8割以上がグーグルとの取引によるものと推定されています。

同社は2027年までにAI関連で600億〜900億ドルの売上機会があると見ており、メタやバイトダンスなど7社とカスタムチップ開発を進めているとしています。AI分野におけるブロードコムの株価は過去1年で58%上昇しており、投資家の期待も高まっています。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

マーベル・テクノロジーは成長余地に注目

一方のマーベル・テクノロジーは、アマゾンとの5年契約やマイクロソフトとの協業を通じて、カスタムAIチップ市場に本格参入しています。現在のところデータセンター売上はエヌビディアに大きく劣りますが、2025年第1四半期には前年比76%の成長を記録しました。

同社は最近、社名非公開の大手顧客との新規AIプロジェクトを2件獲得したと発表しており、ウォール街ではこれがオープンAIやxAI(イーロン・マスク率いる新興AI企業)ではないかとの観測も出ています。

*過去記事はこちら マーベル・テクノロジー MRVL

今後の展望と投資判断

AIアクセラレータ市場は2024年の1,240億ドルから2030年には3,900億ドルへと急拡大すると予測されています。この中で、カスタムAIチップの市場シェアも11%から15%へと伸びる見込みです。

エヌビディアが依然として圧倒的なシェアを持つとはいえ、大手テック企業が一社への依存を嫌う性質を考えれば、ブロードコムやマーベルの存在感は今後さらに高まる可能性があります。

AI時代の“第二の選択肢”として、両社の動向から目が離せません。コスト効率を重視するビッグテックの戦略が、今後の半導体市場に大きな影響を与えそうです。

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