2025年7月8日、米投資情報メディア『バロンズ』が「上がりすぎた14銘柄」として、ブロードコム(AVGO)、マイクロン・テクノロジー(MU)、フリーポート・マクモラン(FCX)などの株を警戒する記事を公開しました。テクノロジーや資源株を中心に、短期間で急騰した銘柄がリスクにさらされているという内容です。
市場全体の急上昇とトランプ政権の関税戦略
S&P500指数は、2025年4月初旬の安値から7月初旬までに約28%上昇しました。背景には、トランプ大統領による関税の一時停止措置や、インフレ率が3%未満にとどまっていることが挙げられます。投資家は利下げ期待を強めており、株価の上昇に拍車がかかっています。
しかし財務長官の発言によれば、2025年8月1日までに他国との交渉が進まなければ、関税が再び発動される可能性があります。これにより、物価上昇と利上げリスクが高まり、株価には下押し圧力がかかると見られています。
テック株の割高感が鮮明に
特に警戒されているのが半導体を中心としたテクノロジー株です。S&P500テクノロジー指数は、今後12か月の予想利益に対して28倍のPER(株価収益率)で取引されており、S&P500全体の22倍を大きく上回っています。これは今年最大のプレミアムであり、過熱感が否定できません。
記事では、次の銘柄が短期的に大きな下落リスクを抱えていると指摘されています。
- エヌビディア(NVDA)
- ブロードコム(AVGO)
- アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)
- テキサス・インスツルメンツ(TXN)
- クアルコム(QCOM)
- TSMC(TSM)
- マイクロン・テクノロジー(MU)
これらの銘柄は、4月の関税発表時に市場以上に下落し、その後急反発を見せたことで、テクニカル的にも「買われすぎ」の水準に達していると見られています。
鉱山株やETFも過熱気味
銅関連では、フリーポート・マクモラン(FCX)とサザン・カッパー(SCCO)がともに急落後に40%超の回復を見せていますが、再び下落に転じる可能性があるとされています。また、S&P銀行ETFや小売ETF(XRT)も同様のパターンをたどっており、景気敏感セクター全体に警戒が必要です。
今は買い増しのタイミングではない
記事は、これらの銘柄やセクターに対して、今は新規投資や買い増しを控えるべきだと警告しています。特に、関税リスクが再燃する8月初旬までは、市場全体のボラティリティが高まる可能性があり、慎重な対応が求められます。
おわりに
『バロンズ』の記事は、短期間に急騰した銘柄の持つ下落リスクを改めて浮き彫りにしました。インデックスや大型テック株中心のポートフォリオを構成している投資家にとっても、ポジションの見直しやリスク管理が重要な局面となっています。
今後の関税動向やインフレ指標を注視しつつ、冷静な判断を下すことが求められています。
追記:そのほかにも注目すべきリスク銘柄
記事では上記銘柄に加え、半導体装置関連や素材系の銘柄もリスクの高い水準にあると報告されています。以下のような銘柄も過熱領域にあると考えられており、今後の株価変動に注視が必要です。
- コルボ(QRVO)
- アナログ・デバイセズ(ADI)
- KLA(KLAC)
- アプライド・マテリアルズ(AMAT)
- ラム・リサーチ(LRCX)
これらの銘柄はRSIが70以上の「買われすぎ」水準に達しており、短期的には下落調整が起きやすい地合いです。すでにポジションを持っている投資家は利益確定のタイミングを見極めるべき段階にあるかもしれません。