2025年第1四半期、米国最大の公的年金基金であるカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース:CalPERS)は、ポートフォリオの大幅な再構築を行いました。アップル(AAPL)の株式を売却し、メタ・プラットフォームズ(META)、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)、マクドナルド(MCD)の株式を追加購入しました。この動きは、同基金が米国証券取引委員会(SEC)に提出した報告書により明らかになりました。
アップルの売却
カルパースは、2025年第1四半期にアップルの株式を510万株売却し、保有株式数を3,470万株に減らしました。この決定は、同社の株価が第1四半期に11%下落し、S&P500指数の4.6%の下落を上回ったこと、さらに第2四半期に入ってからも12%の下落が続いていることが背景にあります。加えて、ドナルド・トランプ大統領がアップルのインドでの製造拠点に対して懸念を示し、外国工場で製造されたiPhoneに25%の関税を課す可能性を示唆したことも、売却の要因と考えられます。
メタの追加購入
同基金は、メタ・プラットフォームズの株式を57万9,150株追加購入し、保有株式数を550万株に増やしました。メタは、2025年第1四半期に堅調な決算を発表し、特にデジタル広告事業の見通しが良好であることが投資家の信頼を集めています。第1四半期の株価は1.6%下落しましたが、第2四半期に入ってからは8.8%上昇しています。
AMDの追加購入
カルパースは、アドバンスト・マイクロ・デバイセズの株式を32万5,180株追加購入し、保有株式数を330万株に増やしました。同社は、第1四半期に15%の株価下落を経験しましたが、その後7.4%の回復を見せています。強固な決算と財務見通しの上方修正、さらにサウジアラビアでのAIコンピューティングセンターのネットワーク構築計画が、投資家の注目を集めています。
マクドナルドの追加購入
同基金は、マクドナルドの株式を49万4,290株追加購入し、保有株式数を350万株に増やしました。マクドナルドは、2025年第1四半期に売上高59億6,000万ドル、調整後1株当たり利益2.67ドルを計上し、いずれも市場予想を下回りました。米国における来店者数の減少が影響していますが、現在進行中の「マインクラフト・ムービー」とのハッピーセットのプロモーションが売上を押し上げており、第2四半期の業績改善が期待されています。
カルパースの投資戦略
カルパースは、総資産5,400億ドル以上を運用しており、その投資戦略はインデックス指向で、システマティックかつ定量的な手法に基づいて最適化されています。同基金は、「個別の期間の出来事に左右されるものではない」と述べており、短期的な市場の変動ではなく、長期的な視点での資産運用を重視しています。
このような動きは、カルパースが市場の変動や地政学的リスクを考慮しながら、ポートフォリオのリバランスを行っていることを示しています。特に、テクノロジー企業や消費関連企業への投資を強化することで、将来の成長性を見据えた戦略的な資産配分を進めていると考えられます。