米国のオンラインスポーツベッティング大手ドラフトキングス(DKNG)が2025年度第1四半期決算を発表しました。損失は市場予想よりも小さかったものの、通期の売上見通しは据え置かれました。これは、3月のスポーツイベントで利用者側に有利な結果が続いたことが要因とされています。
第1四半期の業績:損失は予想より縮小
ドラフトキングスは、第1四半期に1株あたり7セントの損失を計上しました。これはアナリスト予想の8セントの損失をわずかに上回る内容です。売上高は14億1,000万ドルで、前年同期比で20%の増加となりましたが、市場予想の14億3,000万ドルにはわずかに届きませんでした。
それでも、決算発表後の5月8日の時間外取引では株価が2%上昇しました。これは、同社のプラットフォーム改善や、より多くの利用者がベッティングを行い、取扱額に対して同社がより大きな収益を得られたことなどが好感されたためと考えられます。
また、2023年に買収した宝くじアプリ「ジャックポケット」の貢献も業績に寄与したとされています。
スーパーボウルと3月のNCAAトーナメントが業績に影響
ドラフトキングスは、株主向けの書簡の中で、「第1四半期のスーパーボウルでは当社に有利な結果が出たが、3月のNCAA男子バスケットボールトーナメントでは、人気チームが順当に勝ち進んだことにより、顧客にとって有利な結果となり、スーパーボウルの成果を相殺した」と説明しました。
このような状況により、同社は通期の売上および調整後EBITDA(利払い・税金・償却前利益)の見通しを上方修正するには至りませんでした。
通期見通しはやや下方修正
2025年度の通期売上高は、これまでの63億ドル〜66億ドルという予想を、62億ドル〜64億ドルに引き下げました。ただし、バンク・オブ・アメリカのアナリストは先月の時点で、「3月のマーチマッドネス(NCAAトーナメント)による逆風はすでに投資家の間で織り込み済み」と述べています。
安定した利用者動向と広告費削減効果も
ドラフトキングスの最高経営責任者であるジェイソン・ロビンズ氏は、「プラットフォーム全体の改善が奏功し、マクロ経済環境が変化する中でも消費者指標は堅調である」と述べました。
同社は「世界金融危機時においても成熟した地域ではオンラインゲーミングが強さを維持した」と振り返り、現在でも「預金額、利用セッション時間、アクティブ日数、ベット頻度、ベット額などの指標が強く、予測通りのトレンドを維持している」としています。
また、広告分野など企業の支出が減少する中で、コスト効率の向上も実現しているとのことです。
株価の推移と今後の注目点
ドラフトキングスの株価は、過去12カ月で19.7%下落しており、今年に入ってからも約5%下落しています。今後は主要スポーツイベントや新たな州での合法化進展、またマクロ経済環境の変動が、同社の業績および株価にどのような影響を与えるかに注目が集まります。
投資家としては、短期的なイベントリスクに加え、プラットフォームの技術的進化やユーザー基盤の拡大に注視していくことが求められます。