4月30日の米国市場の終了後、米ソーシャルメディア大手のメタ・プラットフォームズ(META)の決算発表が予定されています。例年と比べて、今回の決算には複雑な要素が加わっており、投資家やアナリストの関心が高まっています。
広告収益が柱となるシンプルなビジネスモデル
メタの収益構造は非常に明快で、2024年には98%の売上がFacebookやInstagramといったアプリ上の広告から生まれました。最近では、X(旧Twitter)の競合として立ち上げられたThreads上でも広告展開が開始され、さらなる収益源として期待されています。
決算説明会では、広告技術の進化、ユーザー数の増加、広告単価や視聴数の変化といった従来のトピックが引き続き注目されます。アナリスト予想では、2025年第1四半期の1株当たり利益(EPS)は5.23ドルと、前年同期比で11%増、売上は413億ドルで13%増と見込まれています。
ただし、この成長率は2024年の22%増からの減速を意味しており、市場ではThreads広告が予想以上に貢献するかにも注目が集まっています。
国際的な広告需要に影を落とす貿易政策
今回の決算が注目されるもう一つの理由は、米国政府による急な政策変更です。2025年第1四半期の終了直後、4月2日にトランプ大統領が発表した新たな関税措置が市場を混乱させ、4月9日にその方針を修正するまで株式市場は大きく動揺しました。
2024年のメタの売上の約3分の2は米国外からのものであり、特に国際的な広告需要への影響が懸念されています。アナリストたちは4月に入ってからの国際的な広告支出の変化についても注目しています。
中国関連広告の先行き不透明感
中国本土ではメタのアプリは利用できないものの、中国企業は世界市場に向けた広告を活発に出稿しています。中でも、中国のECプラットフォームであるTemuとSheinは主要な広告主であり、広告価格を押し上げる存在でもあります。2024年には中国企業からの広告売上が全体の11%を占めていました。
しかし、Temuはすでにアメリカ国内に在庫を持つ一方で、中国から発送される商品には最大143%の「輸入課金」が課されるようになりました。Temuのビジネスモデルは超低価格商品が主力であるため、このコスト増加は短期的にも大きな打撃となる可能性があります。この影響が4月の広告量と価格にどのように現れているかが、今後の焦点となります。
欧州での規制強化もリスク要因に
欧州連合(EU)における規制も無視できない要素です。メタは2017年以降、欧州で比較的小規模な制裁金を繰り返し受けてきましたが、状況が変化しつつあります。
最新の制裁はEUの「デジタル市場法(DMA)」違反によるもので、2億ユーロ(約2億2,800万ドル)の罰金が科されました。DMAおよびその関連法である「デジタルサービス法(DSA)」では、重大な違反が繰り返された場合、年間売上の最大20%に相当する制裁金が科される可能性があります。
メタの欧州部門は、EU以外の地域も含んでいますが、2024年には売上の23%を占めており、前年から23%の成長を遂げました。今後の収益への影響は慎重に見極める必要があります。
投資家が注目すべきポイント
今回の決算では、以下の点が特に注目されます。
- Threads広告の売上貢献度
- 国際的な広告支出の変動と米中貿易摩擦の影響
- TemuやSheinなど中国系企業の広告活動の変化
- EU規制による中長期的な影響
広告事業が柱であるメタ・プラットフォームズにとって、これらの外部環境の変化は収益構造に直結します。今後の展望を理解する上でも、今回の決算内容と経営陣のコメントは非常に重要です。
*過去記事 メタ・プラットフォームズ