米国株全面安の中、AI関連株が急落!最新市場分析レポート

歴史的な上昇を見せていた半導体セクターですが、4月10日(木)の米国市場では多くの大手半導体株が急落しました。この下落は、ドナルド・トランプ大統領による関税引き上げの一時停止発表にもかかわらず、テクノロジーセクターを取り巻く不透明感が払拭されなかったことが背景にあります。

モルガン・スタンレーのジョセフ・ムーア氏は、顧客向けメモの中で「関税懸念は後退したかもしれないが、これで終わったわけではない」と述べています。

カンター・フィッツジェラルドのC.J.ミューズ氏は、「さて、どうする?」と問いかけていますが、たとえ不確実性がある中でも、セクターの主要銘柄にとって最悪のシナリオはそれほど深刻ではないという見方をしています。

投資家は再び攻勢へ、AI関連銘柄が注目に

ミューズ氏は、投資家が半導体セクターで再び攻勢に出ており、特に人工知能の恩恵を受ける企業を選好していると述べています。エヌビディア(NVDA)ブロードコム(AVGO)TSMC(TSM)は、ミューズ氏の注目銘柄です。

同氏によれば、AI関連銘柄は半導体セクターの中でも最も経済的影響を受けにくいとされています。マイクロン・テクノロジー(MU)もこの文脈で言及されていますが、10日の市場ではこれらの銘柄すべてが大幅に下落しました。

  • エヌビディアは5.91%下落し、終値は107.57ドル。
  • ブロードコムは6.94%下落し、終値は172.30ドル。
  • TSMCは4.80%下落し、終値は151.13ドル。
  • マイクロン・テクノロジーは10.04%下落し、終値は70.05ドル。

これらの下落は、ダウ工業株30種平均が1,014.79ポイント(2.5%)下落し、39,593.66ドルとなったことや、ナスダック総合指数が737.66ポイント(4.3%)下落し、16,387.31ドルとなったことと同期しています。

エヌビディアの関税対策と将来性

モルガン・スタンレーのムーア氏は、エヌビディアへの関税によるマクロ経済的な影響を「かなり小さい」と評価しています。同社は、最新のGB200サーバーの生産をメキシコで行う計画を進めており、これはアジア地域における関税の負担を軽減する取り組みの一つです。

「北米への生産シフトはそれほど難しくないはず」とムーア氏は述べており、GB200は複雑なプロジェクトながら、生産量は限定的であるとしています。また、GB200のようなラックスケール製品は短期的に価格に敏感な市場ではないため、大きな影響を受けにくいと分析しています。

不況リスクとエヌビディアの立ち位置

ムーア氏は、投資家にとって経済の先行きが懸念材料であると指摘しています。そのような状況下で、エヌビディアは不況に強いとは言えないものの、決して悪い立ち位置にあるわけではないと述べています。

PMI(購買担当者景気指数)の緩やかな低下や関税による消費者需要の鈍化については、GPUの需要に大きな影響を及ぼすとは考えていません。ただし、ベンチャー企業における資金調達の難しさが、リスク要因となる可能性を指摘しています。

一方で、ハイパースケール企業がここ数カ月で設備投資を拡大していることから、ムーア氏は「エヌビディアの見通しについて非常に否定的な見方が広がっていることに驚いている」とコメントしています。

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