AMDに暗雲?エヌビディアに完敗、AIチップ競争で後退

  • 2025年3月28日
  • 2025年3月28日
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アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)は、人工知能(AI)チップ分野において、エヌビディア(NVDA)の影に隠れた存在となっており、その状況は2025年に入っても悪化の一途をたどっています。さらに今後は、インテル(INTC)の存在も脅威になり得ると、米証券会社ジェフリーズのアナリストが指摘しています。

エヌビディアのホッパーを超えられないAMDの現状

AMDのAI関連ビジネスは市場の期待を満たせておらず、エヌビディアのグラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)が依然として市場を支配しています。現時点では、その優位性が覆る兆しは見えていません。

特に、AMDのMI300シリーズのAIチップは、すでに旧世代となりつつあるエヌビディアのホッパー・アーキテクチャにすら及ばず、今後登場するブラックウェルやルービンといった次世代プロセッサによって、その性能差はさらに広がると予測されています。

ジェフリーズのアナリスト、ブレイン・カーティス氏は、「独自のGPUベンチマークレポートによると、ホッパー H200はMI300xに対して依然として大きな性能優位を持っており、ブラックウェルとルービンの登場によりこの差は拡大する」と述べています。

これを受けて、カーティス氏はAMDの投資判断を「買い」から「ホールド」に引き下げ、目標株価も135ドルから120ドルに修正しました。3月27日の米国市場でAMDの株価は4%下落し、105.78ドルとなっています(米国東部夏時間13:05現在)。

インファレンス分野でも厳しい評価

エヌビディアはAIモデルの学習で圧倒的なシェアを確保していますが、AMDにとっての希望は、今後需要が高まるとされるインファレンス(AIモデルからの出力)分野への進出でした。

しかし、ジェフリーズのテストによると、インファレンス用途においてもH200はMI300xを「ほぼすべての指標で」上回ったとされています。もちろん、ベンチマーク結果は使用モデルやソフトウェア、タスク内容によって異なるものの、同社は「AMDのハードウェアが最適化されていなかった可能性はあるが、それでもエヌビディアのソフトウェアの重要性が際立つ」と強調しています。

AMDはこの分析結果に対してコメントを控えましたが、最新のAIチップ「MI325X」の開発を進めており、2025年後半には次世代の「MI350」シリーズを投入する予定です。MI350は、旧世代のMI300と比較してインファレンス性能を最大35倍に高めるとされています。

AI関連売上の成長見通しと市場の期待値

ジェフリーズによると、AMDのAI関連売上は2026年に100億ドル、2027年には120億ドルに達すると予測されています。一方、ウォール街のコンセンサスでは、それぞれ120億ドル、150億ドルと、より高い成長が期待されています。

つまり、AMDは売上面でも市場の期待に対してやや控えめな見通しとなっている状況です。

パソコン・データセンター分野での優位性にも陰り

AI市場での苦戦が続く中、AMDにとっての救いは、パーソナルコンピュータおよびデータセンター分野においてインテルからのシェア奪取が進んでいた点でした。

しかし、その優位性も将来的には揺らぐ可能性があります。新たにインテルの最高経営責任者(CEO)に就任したリップブー・タン氏の下で、同社は着実な改革を進めているとみられており、カーティス氏は「インテルはすでにある程度の進展を遂げており、2026年には競争力のあるチップを提供できる見通し」と述べています。

インテルの株価は過去1年で約48%も下落していますが、今年に入ってからは15%上昇しており、中長期的には反転攻勢の可能性も視野に入ってきています。

まとめ

AIチップ市場においては、依然としてエヌビディアの牙城が崩れない中、AMDの巻き返しは容易ではありません。今後登場するMI350シリーズやその後継製品が、どれだけ技術的・商業的に進化できるかが、同社の将来を左右する鍵となりそうです。一方で、パソコンやデータセンター分野での競争も激化する見通しであり、2025年はAMDにとって非常に重要な転換期となる年になるかもしれません。

*過去記事はこちら  AMD

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