電子署名サービスを提供するドキュサイン(DOCU)の株価が大幅に上昇しました。3月15日の米国市場では、正午過ぎの段階で取引で前日比18.5%増となり、88.5ドルを記録しました。この上昇率は2023年12月以来、1日あたりの最大上昇率となりました。ウォール街のアナリストは、ドキュサインの成長性と新しいAI契約管理プラットフォーム「Docusign IAM」への期待を示しています。
第4四半期決算、売上・利益ともに予想を上回る
ドキュサインが発表した2025年度第4四半期(1月31日終了)の決算は、ウォール街の予想を上回りました。
- 調整後1株当たり利益(EPS):86セント(予想85セント)
- 総売上高:7億7,630万ドル(予想7億6,120万ドル)
- 前年同期比の売上成長率:11%増
同社は引き続き成長軌道に乗っており、企業向けサービスの拡充が奏功していると見られます。
「Docusign IAM」に対する市場の評価
ドキュサインは、AIを活用した契約管理プラットフォーム「Docusign IAM」をリリースしました。CEOは「2025年度はドキュサインにとって変革の年」と位置づけ、この新プラットフォームが顧客の支持を急速に獲得していると強調しました。
投資会社ウィリアム・ブレアのアナリスト、ジェイク・ロバージ氏は、同社の動きを評価し、以下のように述べています。
「Docusign IAMは企業顧客向けに提供され始めたばかりがが、ドキュサインの業績は順調に伸びている。企業は新しいプラットフォームに積極的に移行しており、価格上昇に対する抵抗もほとんど見られない。」
この評価は、ドキュサインの収益基盤が強化される可能性を示唆しており、中長期的な成長につながると期待されています。
2026年度の売上見通しとアナリストの評価
ドキュサインは2026年度の売上予測を発表しました。
- 第1四半期売上見通し:7億4,500万ドル~7億4,900万ドル(アナリスト予想:7億5,760万ドル)
- 通期売上見通し:31億2,900万ドル~31億4,100万ドル(アナリスト予想:31億5,000万ドル)
アナリストの見通しと比較すると、やや控えめな予測となりました。しかし、シティのアナリストはこの結果を前向きに評価し、ドキュサインの目標株価を113ドルから115ドルに引き上げ、「買い」の評価を継続しました。
「売上は市場予想を下回ったが、0.7%の為替の影響が含まれており、請求額もやや遅れをとった。しかし、2026年度はDocusign IAMの本格的な導入が進む最初の通年となり、請求額の増加が見込まれる。今後も安定した成長が続く可能性がある。」
まとめ:ドキュサインはAI戦略で成長を加速
ドキュサインは、AIを活用した契約管理ソリューションを強化することで、企業顧客からの支持を拡大しています。2025年度の決算は予想を上回り、株価も大きく上昇しました。2026年度の売上予測は市場の期待よりやや控えめなものの、新プラットフォームの普及が進むことで、中長期的な成長が期待されます。
アナリストの評価も総じてポジティブであり、ドキュサインは今後も堅調な業績を維持する可能性が高いと考えられます。