ブロードコムのタンCEOが語るAI市場と成長戦略

ブロードコム(AVGO)のホック・タンCEOは、2025年の第1四半期決算発表において、AI市場の成長が同社の業績を力強く押し上げていることを強調しました。同氏の発言を中心に、ブロードコムの戦略や市場動向を整理します。

AI関連支出が売上を牽引

タンCEOは、AI分野の売上が今期で44億ドルに達する見込みであると発表しました。AI向けのカスタム半導体が市場の需要を強く引きつけており、データセンター運営企業(ハイパースケーラー)からの投資が積極的に進められていると述べています。

「私たちのハイパースケールパートナーは引き続き積極的に投資しています」とタンCEOは語りました。

ハイパースケーラー向けAIチップの拡大

ブロードコムは現在、3社のハイパースケーラー顧客を持っていますが、新たに4社が加わる予定であるとタンCEOは説明しました。そのうち2社はすでに売上を生み出す段階に近づいているとのことです。

また、同社のカスタム半導体は、エヌビディア(NVDA)が提供する一般的なアクセラレーターチップよりも特定の用途で効果的な場合があると述べました。この発言は、ブロードコムがAI市場において独自の強みを持ち、ハイパースケーラーにとって重要なパートナーであることを示しています。

収益予測を超える成長の可能性

ブロードコムは現在、AI関連事業の売上が2027年までに600億ドルから900億ドルに達すると予測しています。しかし、タンCEOは、新たな顧客の追加によってその成長の可能性がさらに拡大すると示唆しました。

「この予測には、新たに加わるハイパースケーラーの売上は含まれていません。ブロードコムの機会は、それ以上に広がっています」と語っています。

米国の輸出規制の影響は限定的

米国政府はAI関連チップの輸出規制を強化しようとしていますが、タンCEOは「この規制は、現在のハイパースケーラー顧客には影響を与えません」と明言しました。これは、同社が主要な取引先としているアルファベット(GOOGL)のGoogle、メタ・プラットフォームズ(META)ByteDance(バイトダンス)にとって、安定した供給が続くことを意味します。

インテル買収の可能性について

市場では、ブロードコムがインテル(INTC)の一部買収を検討しているとの報道がありました。しかし、タンCEOはこの噂を否定し、現在はAI関連事業とヴイエムウェア(VMware)の統合に集中していると述べました。

「私は今、非常に忙しい。現時点では、そうしたことを考えていません」と発言し、AI事業の成長と統合プロセスが最優先であることを強調しました。

まとめ

タンCEOの発言から、ブロードコムがAI市場の成長を強く見込んでいることが明らかになりました。ハイパースケーラー向けのカスタム半導体事業を拡大し、新たな顧客の獲得によってさらなる成長を目指しています。また、米国の輸出規制の影響は限定的であるとし、安定した事業基盤を維持できるとの見解を示しました。

一方で、インテル買収などの大規模なM&Aは現時点では検討しておらず、AI分野における事業拡大とヴイエムウェアの統合に注力する方針を明確にしています。

*過去記事はこちら ブロードコム AVGO

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