マーベル・テクノロジーとブロードコムの決算が半導体株のカギに!

2025年に入り、半導体セクターは厳しい状況に直面しています。関税の導入や最先端の人工知能(AI)チップの輸出制限といった規制の影響を受け、半導体市場は圧迫されています。半導体株のパフォーマンスを測るPHLX半導体指数(SOX)は、今年に入って6%下落し、特に先週は7.2%の急落を記録しました。

半導体指数(SOX)の変動は珍しくない

バンク・オブ・アメリカ証券(BAC)のアナリストであるビベック・アリヤ氏は、SOX指数の不安定な動きについて「珍しいことではない」と指摘しています。同氏の分析によると、2021年初めから2025年2月末までにSOX指数は週ごとに21回、5%以上の下落に見舞われています。一方で、S&P500(SPX)が同期間に5%以上下落したのはわずか3回でした。

しかし、長期的な視点で見ると、SOX指数は2020年12月31日から2025年2月28日までに71%の上昇を記録しています。同期間のS&P500の上昇率は59%であり、半導体セクターの成長力がうかがえます。

エヌビディアの決算後の動きと市場の反応

SOX指数の主要銘柄の一つであるエヌビディア(NVDA)は、最近の四半期決算で市場予想を上回る結果を発表したにもかかわらず、株価は下落しました。この動きは投資家の期待がすでに高まりすぎていたことが要因と考えられます。

それにもかかわらず、アリヤ氏は半導体市場の先行きについて楽観的な見方を崩していません。特に、マーベル・テクノロジー(MRVL)ブロードコム(AVGO) といった企業の業績が、今後の市場回復を牽引すると期待しています。

クラウドとAI投資が半導体の成長を支える

アリヤ氏は、「米国のクラウドサービス事業者による設備投資と各国政府によるAI投資は、現在の世界経済において数少ない明るい成長領域の一つである」と指摘しています。特に、ブロードコムやマーベル・テクノロジーの業績が市場予想を上回れば、AI半導体への関心が再び高まる可能性があります。

実際、マーベル・テクノロジー は3月5日に決算発表を予定しており、ブロードコム は3月6日に決算を発表する予定です。市場関係者は、これらの決算が半導体市場の回復を後押しする可能性に注目しています。

J.P.モルガンのアナリストも楽観的な見方を維持

バンク・オブ・アメリカ証券のアリヤ氏だけでなく、J.P.モルガンのアナリストであるハーラン・サー氏も、半導体市場の強さを指摘しています。同氏は、「マーベル・テクノロジーブロードコム は、強力なハイパースケール設備投資の恩恵を受けており、事業の基盤はしっかりしている」と述べています。

ハイパースケール設備投資とは、アルファベット、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コム といった大手クラウドサービスプロバイダーによるデータセンター拡張やAI関連投資を指します。これらの企業は、2025年に数百億ドル規模のAI投資を行う計画を発表しており、その資金の一部はハードウェアの購入に充てられます。これにより、マーベル・テクノロジーブロードコム といった半導体企業は恩恵を受ける可能性が高いと見られています。

マーベル・テクノロジーとブロードコムの強み

マーベル・テクノロジー は、データセンターやAIインフラ向けのチップやハードウェア製品を幅広く提供しており、大手ハイテク企業が独自のAI半導体を設計するのを支援しています。一方、ブロードコム も同様に、大手ハイテク企業向けの自社製プロセッサの設計を手掛けており、AI市場の拡大とともに成長が期待されています。

AIチャットボットの台頭が半導体市場に与える影響

アリヤ氏はまた、AIチャットボットの普及が半導体市場に与える長期的な影響にも注目しています。AIチャットボットには、OpenAIのChatGPT、アルファベットのGemini、DeepSeek、MetaAI などがあります。これらのAIモデルは、高性能な学習・推論チップを大量に必要とするため、半導体需要を押し上げる要因となります。

「AIチャットボットの進化は、学習・推論チップの旺盛な需要を促進し、新たなビジネスモデルやアプリケーションを生み出し、投資家がAIへの投資から得られるリターンに対する信頼を高める要因となる」とアリヤ氏は指摘しています。

半導体市場は短期的な変動を乗り越え、長期成長へ

2025年に入り、半導体市場は短期的な逆風に直面していますが、クラウド事業者や政府によるAI投資の拡大、データセンターの増設、AIチャットボットの成長といった要因により、中長期的には引き続き成長が期待されています。

特に、マーベル・テクノロジーブロードコム の決算結果が市場の期待を超えれば、半導体株への関心が再び高まり、SOX指数の回復につながる可能性があります。短期的な下落に一喜一憂するのではなく、長期的な成長の視点を持つことが重要です。

*過去記事「エヌビディアの次はどこか?AI革命で注目の半導体銘柄3選

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